MEETS: Bulletin 編集委員 糸井空有

3月からインターンとして空有 (くう)さんに手伝ってもらうことになりました。

「節分」の日に鬼をやっていた彼に声をかけ、話を聞くと太鼓やお御輿などバンクーバーの日系の活動にも意欲的に参加していて興味深い。

ーバックグラウンドをかんたんに尋ねたいと思います。出身は?いつカナダに来たのでしょう? 

  千葉生まれの埼玉育ちです。

  2015年にカナダに来ました。僕、専攻が理系の生物学なんですが、子供の頃から虫とか植物が大好きで高校の卒業が近づいた時に当時の先生から、将来生物学者になるのであれば英語が話せた方が絶対有利だという助言をもらい、海外に出ることを決めました。

ー海外はどちらに住みましたか? 

  ずっとバンクーバーです。アメリカや他の国も考えたんですが治安の面を考えたのとUBCに通ってた知人から話を聞いたりしてUBCに決めました。最初はUBCのE.L.I.で英語を学び、ランガラカレッジのジェネラルバイオロジーに入学。3年目にUBCに転入してバイオロジーを学びました。なんですが転入するちょうどその時期にコロナがあって、1年目の授業は全てオンライン。コロナの時は生徒に大きな打撃があったんですよ。学校にも行けず、図書館やジム、学校施設全てが使えない。テストもオンラインなのでチーティングができてしまう。チーティングしてると平均点が上がるじゃないですか、それで問題が発覚して退学になったっていう話もあったりしました。

  そんな悪戦苦闘もあり、4年目の時期にやっと大学に通えたんです。UBCにある農場でミツバチや鳥、土壌の調査なんかをしました。楽しかったですね。

  2022の春に卒業しまして、バンクーバーに来てから一度も日本に帰っていなかったので一時帰国をしようと計画してたら来週帰るって時にコロナになっちゃって(照笑)帰国を1ヶ月遅らせたら暑い夏に帰ることになりました(笑)。

  2ヶ月間日本に居て、もっと生物学を勉強したいなと思ったのと本当に自分が何をしたいのかを見つける自分探しをしようとバンクーバーに戻りました。

ー今のステータスはなんですか? 

  3年のポストグラジュエーションとオープンワークパーミットです。将来はPRを取って、長く居られたらなと情報を集めています。

ー日系の活動に意欲的ですよね。私も以前「騒ぎ」と言う太鼓グループにいたことがあるので親近感を持ちます。どのグループに所属していますか? 

  「山椒だいこ」と言うグループで正式にメンバーになりました。3月2日にNikkeiセンターでギグあります。「カナダ三宅太鼓」にも所属しています。三宅島で叩かれている太鼓なんですが。「津村ファミリー」が外国に持ち出した太鼓グループです。2016年に初めて津村ファミリーがバンクーバーを訪れワークショップをしたのをきっかけにカナダでも発足され、Norikoさんがオーガナイズしています。今年から「カナダ三宅太鼓」は、三宅島芸能同志会の一員に認められたので今年からさらに意欲的にいろいろな活動をしていく予定です。

ーどのような経緯で太鼓を叩くようになったんですか? 

  2018年にふと見たランガラカレッジのインフォメーションボードに「三宅太鼓」の張り紙が貼ってあったんです。(バンクーバーで三宅太鼓!?) 

こっちでは伝統芸能はできないと思っていたのですごく嬉しくなっちゃって。

僕、日本で「三宅太鼓」を習っていたんです。

ーそれは珍しいですね! 

  日本で中高一貫校のアートに力を入れている学校に通っていて、日本の伝統芸能を練習する部活に所属して和太鼓や日本舞踊、ソーラン節、鬼剣舞、さんさ踊り…東北にまつわる芸能を勉強をしていました。それらの演目の中に「三宅太鼓」があったんです。

その道の師を訪ねたり、部活動の先生やOBから教わったりしました。

「三宅太鼓」は他とは少し違い、伝統芸能をとことん突き詰めているのが特徴です。

獅子舞も習っていたのでお神輿の「楽一」で獅子舞もやりました。2023年の祭りイベントでの獅子舞は僕です(笑) 

ーそうか~、あの獅子の中に入っていたのは空有さんだったんですね~(笑) 

他にも、篠笛、三線とかも習ってました。バンクーバーでまだこういう活動できるんだとわかってほんと嬉しいです。

ー 空有さんはパウエル祭や日系祭など積極的に参加していますね。

元日本街にあるオッペンハイマーパークで行われた「節分」でも鬼をやられていましたが、カナダで日系であることに何か感じたことがありましたらお聞かせください。

  生物学の研究成果のレポートを書くに至っても、必ず土地についてのメンションをしなければならないんです。カナダの大学で英語で学ぶということは、ファーストネーションの話は必ず出てきますし、ここ最近は全てのイベントの開催に原住民の方への尊敬の念と感謝の言葉を述べるにあたり、カナダの歴史・文化を考えること学ぶことがたくさんあります。

  日本にいたら知ることはなかったこと(日系人強制収容所についてだったり)も学べてバンクーバーに来て良かったと思っています。

Kao&Ku

ー今後、目標や夢などをお聞かせください。

そうですね、まず生物学に関わった職種に就きたいですね。

日本の伝統芸能をカナダで広げたいという想いがあるので、カナダに落ち着いたら日本舞踊のチームを作りたいと考えてもいます。

The Bulletin/Geppoに編集部員として関わることになったのでメディアでも伝統芸能を取り上げて広めていけたらと思っています。

 

 

 

ーぜひ格好いい日本芸能の舞踊チームを作ってください! 楽しみにしています。

  自分探しの旅と言っていたけれど、結構しっかりとした目標を持っていてもうほぼ見つけているのではないかしら。私には空有さんに素晴らしい未来が待っているのがキラキラと見えるようです。

  バンクーバーでの日系の歴史や伝統についてのバックグラウンドにも勉強熱心で編集部員としても期待の星です! 

  皆さんもイベントで見かけたら空有さんに「MEETS」読んだよって声をかけてみてくださいね。

[文:Sleepless Kao