働きing:金谷俊明(Nick)

今回の働きingは元プロスノーボーダーで、今はバンクーバーで大工仕事をしている金谷俊明(Nick)さんにインタビューです。

バーナビーから自転車で颯爽と登場。さわやかスポーツ青年という感じで好印象です。

金谷俊明さん(Nick)

金谷俊明さん(Nick)

—なんとお呼びしたらいいですか?ニックネームか何かありますか?

 「Nick」で。

—え~っと、それはミドルネーム…

 いいえ(笑)
日本にいた時に職場の先輩があだ名をつけてくれたのですが、僕の体型が痩せていたが為に、先輩に「お前、もっと肉(ニック)を食ったほうがいいんじゃないか?」と言われたのが始まりです。(笑)

—どんな経緯でいつこちらに来られましたか?

 最初は2012年に学生ビザで渡加しました。その後、日本でウッドデッキの職人の経験があったので、バンクーバーにある建築の会社からワークビザをサポートしてもらい、現在に至ります。
 ワークビザが2年あるのですが、現在移民申請をしているので、近いうちにPRビザがおりたらいいなと思っています。

—その前はスノーボーダーをしていたと聞いたのですが?

 1999年にワーホリでこちらに来て、その後ウィスラーでスノーボードを3シーズン鍛え、2001年に日本でプロとしてデビューしました。

—興味深い職歴ですね。スポーツを仕事として行うってどんな感じなんでしょう?

 メーカーや企業は人前でブランドを宣伝するパフォーマーを必要としています。そこで、ボーダーは、活動資金や必要な道具類をサポートしてもらいます。スノーボードの技術、山や道具の知識、ゲレンデの流行や傾向など、現場の最先端を企業にフィードバックして、自分に必要なものと交換するわけです。
面白いところでは『味の素』からアミノバイタルを提供してもらっていたこともあります。(笑)

 スポンサーがついていたおかげで、アメリカ、フランス、ニュージーランド、カナダなど、海外に行く機会にも恵まれましたし、世界の山々を滑ることが出来ました。

 特にフランスにはスポンサーの本社があったので、本社のオフィスや工場などを訪問したり、ローカルライダー達に近くの山を案内してもらって滑ったり、彼らと生活を共にしてその地方の文化に触れたりと貴重な体験が出来ました。
 
—なぜカナダに来たのでしょうか?

 4年程前、妻と子供をつくろうかという話になった時に、たまたま福島の問題が起きたので放射能汚染問題について調べ始めました。当時、神奈川県に住んでいたのですが関東エリアは既に汚染されていたことは後で知りました。
水、食べ物、空気はすでにアウトだと分かり、放射能は女性や子供への悪影響が特に酷いことを知り、当初は九州や沖縄に移住も考えました。それに加え、日本政府は日本国民を守ろうとしているのかという疑問を抱くようになり、東北の瓦礫を日本中に運んでいた政府の対応を不安に思って、日本にいるのであれば子供は諦めなければならなそうだと考え、海外への移住を決意しました。

 子供にとっては英語圏がいいかな、北欧で家具を作るのもいいかなと思いを馳せ、スノーボードで世界を旅した経験が移住を考えるのに役立った面もあります。

 最終的に、教育、医療、福祉、仕事の事を考えるとカナダがいいな、と。

—何かお持ちになっていますが、ご自分で作られたのですか?

 はい。針金細工を趣味で20年ほどしていて、以前は世界のあちこちで出会った人やお世話になった人たちに渡したりしていました。

 そして最近、5種のシェイプ(ヘンプの葉、メープルの葉、星、太陽、雪の結晶)を4種の素材のワイヤー(真鍮、シルバー、銅、スチール)でジュエリーを作るジュエリー作家として活動を始めたところです。

 体を動かすスポーツも好きなのですが、とにかく手を動かして物を作ることが好きなので、大工の仕事が休みの日などは家具や照明器具を作ったり、針金細工をしたりといつも何かしら作っています。

 自分が、ここカナダでこれからどんな活動をしていきたいかを知ってもらいたくて、長年親しんできた針金細工を持ってきました。

Capture +のジュエリー

Capture +のジュエリー

—器用ですね~。全部手作りですか…。

Capture +プラス」という名前で活動しています。

 由来は、綺麗な夕焼けをカメラに収めようとしていた人が、「It doesn’t capture…」と呟いたのを聞いたことから、「Capture」の「何かをとらえる」、「魅了する」ように活動していけたらと考えブランド名にしました。今は針金のラインだけなので、Capture + Hariganeという感じですね。ゆくゆくは家具や照明などラインを増やしていけたらと考えています。
 針金細工の経験も長いので、これをまず手始めに、アートの場を広げていけたらと考えています。

 日系のお祭り、パウエル祭にも携わっていきたいと思っています。

 いいですね~。パウエル祭、私もコミュ二ティメンバーで携わっていたのでウエルカムです。アートのお祭りでもあるのでNickさんのアート活動のコミュニティも広がると思いますよ。あとパウエル祭はボランティアも大歓迎(宣伝)なのでぜひお願いします。(笑)

 新しい土地で仕事もしつつ、夢を持って次なるステップを歩んでいるNickさんを『げっぽう』も応援しています。
彼の作品は下記のURLから見ることができます。

Capture +のジュエリー

Capture +のジュエリー

Capture + (プラス)

[文・sleepless kao]