Meets: Yujiro Nakajima

　パウエル祭や桜祭りで演奏を聴いた方もいると思います。ギター奏者のYujiroさんにインタビューしてきました。取材は私の作業場まで来ていただいたのですが、部屋の片隅に20年ほど放置していて弦もボロボロだったギターを見かねたのか、な、なんと修理をし始め、しかもこれまたほったらかしに置いていたウクレレの調律までしてくれました（照笑）

—いつバンクーバーに来たのでしょうか？

　２００５年の夏に来ました。

—ずっと音楽活動を？

　そうですね。日本で演奏して、教えて、ギターで食べていました。

こっちに来て音楽だけでやっていきたかったのだけど、来たばっかの時はガーデナーをしてました。

　それでも音楽の仕事がしたかったのでVancouver Art Galleryの前やGranville Islandでバスキング(路上演奏)をしてました。

—私が教えてるGranville Islandのアート学校の前で弾いている人いて、教室にギターの音色がいつも聞こえてます…あれをやってたんですね。バスキングって言うんですね。儲かるんですか？

　儲からない（笑）

　まずライセンスをワンシーズン１００ドルぐらいで買うんですよ。

毎朝９時にミュージシャンが Granville Islandに来てくじ引きで場所取りをするの。場所や時間によってお金の儲けが違うからね。

—幼少時代はどんな子だったんでしょうか？

　実家は長野県、長野市の善光寺っていうお寺の中に家があるんですよ。お寺と家の関係性は全然ないんだけど（笑）

—それはいい環境ですね。お寺の門をくぐって境内の中に入ると厳かな気持ちになるんですよね〜。その中に普通の民家があるなんてちょっと羨ましいですね。

そんな中で音楽の英才教育をうけたとか？

　いやいや…子供のころに兄貴と妹がピアノをやってたけど、僕は嫌でやってない。

　家はベートーベンの顔の銅像が玄関にあったぐらい親父がクラシックマニアでね。おじいちゃんがギターをやってたらしい…。音楽には子供の時から触れてたんだと思う。環境的には音楽の中にいた。

—子供の頃は興味がなかったのが何のきっかけで音楽の道に？

　ロックバンドをしたかったからかな…。

—もてたかったからですね？（笑）

　いや、違う！それはない（笑）

　中学の時、深夜に友達のお父さんと３人でビートルズのドキュメンタリー映画を映画館で観たのね。それがえらく感動して…それからビートルズのレコードを買い漁ったんだよね。

　お小遣い全てがビートルズのレコードに消えてった。「彼らの様に弾きたいなあ」っていうのが始まり。

実際にギターを買ったのは高校一年。ロックバンド組んで文化祭とかで演奏した。

—お決まりですね（笑）

　真面目に音楽をしたかっただけだよ。ほんと（笑）

—ロックバンドでプロになりたかった？

　ん〜、高校２年の時、軽井沢に世界３代ロックギタリストのJeff Beckが来た。一人で見に行って、おぼろげにこういう仕事をしたいなって思った。

　だけど大学は建築学科に行ったんだよね。シェアハウス（寮）に入ったらみんな音楽サークルの人たちで、その影響もあったと思う。しだいに音楽サークルに自分も入って情熱を注ぎすぎて学校はあんまり行かなかった（笑）

—それが今の”Yujiro”を作っていった？

　そうかもね。

　２００６年にVancouver Art Galleryでバスキング(路上演奏)中に、カナダ・ヨーロッパ、アメリカでラジオ番組を持ってたハリー青木さん（日系人）というジャズベースで有名な人なんだけど、その人が僕の演奏を聴いて、ルーマニアから来たジャズバイオリニストのラッキーさんを紹介してくれてね、そこから音楽の世界が広がっていったんだ。

　その後ブラジル人のボーカリストに出会って演奏するようにもなってレストランやジャズフェスティバルで演奏。アイリッシュ音楽のバンドも組んでパブで演奏もしてます。

—どんなジャンルも弾けるんですね。

　そうだね、基本なんでもやります。

　本当、ここ５年くらい、音楽だけで食べていけるようになったのは。

—やめたいと思ったことは？ ないよねー。

—ツアーもしてるんですね？

　はい、10月半ばから30日間くらい東京から沖縄のライブハウスなどで。

—11月にVancouverにコンサートに来る小野リサさん（ボサノバシンガーで有名）のバンドメンバーともツアーを組んでますよね？

　去年は30箇所一緒だったんですが、今年は彼とは東京だけ一緒に廻ります。

11月に那覇市と石垣島と宮古島にライブハウス。沖縄は沖縄在住の三線奏者とコラボで演奏します。沖縄のスタジオで録音してCDも作る予定です。

　来年中には発売予定です。

—それは楽しみですね！