詩人、パフォーマーとしてパウエル祭でも活躍しているので知ってる人も多いとおもいます。
ねじめ正一さん(詩人で直木賞作家)を迎えてANNEX シアターでポエムイベントを行うに伴って急遽インタビューを申し込みました。
―リハーサルやミーティングで忙しい中、夜も遅くにスタジオに駆けつけてくれて神対応感謝です。そして秘書兼ドライバー?の“ゆりえ・ほよよん”さんも同行して来てくれてありがとうございます。とってつけたようですが、最近益々ご活躍ですね(笑)
ありがとうございます(一同笑)
そうなんですよ!先日も参加者を巻き込んで行う参加型のパブリックイベント“The Labyrinth of hidden messages”を10月20日にVAGの広場でやったのですが、思いの外集まりまして、なんと750人以上の参加者でした!(ほよよん、ちょっと興奮気味に)
―おお~それはすごい!(拍手喝采)
参加した皆の希望のメッセージがツリーにくくりつけられていて、それをラビリンスを歩いて取っていくというイベントだったのですが、メッセージ用に使った用紙を数えたら750以上あってびっくりしました。あれはすごくうれしかった。
―以前にもVAGの広場でイベントしてましたよね?
はい、「Tower of Babel」というパブリックイベントをやりました。15人の移民の人たちと一緒に詩を朗読したんです。
お客さんを囲んで15ヶ国語で朗読。同時に同じ文節を読んで、感じて、同じ意味を共有するのにどはまりしました。
アーティスト一人でやる!というのではなくて、チームで動いているからこそできること、それでできるネタをやるということが僕には大事なんです。
―「詩人」になったのはいつから?
短い詩は中学3年から書いていたんだけど、「詩人」と名乗って生きていこうと決めたのは28歳の時。オーストラリアで旅の途中に「詩人で生きていこう!」って思い立ったんです。
何十年後かに、知人・友人にもし『詩人になって成功した』って言われた場合、僕は彼を羨ましく思うことだろうなって想像したら(あぁ、自分は『詩人』にひっかかってる)って思って、なら自分は詩人になるべきだってと気づいたんです。
そこから旅先で出会った人とかに作った詩を渡したりしていたんです。
本格的に打ち込み出したのは、5年前。バンクーバーでジェニーという画家に出会ったことで変わりました。彼女が自分の才能に真摯に向き合っているのを見て、(それに比べて自分は全く向き合っていないな)とスイッチが入りました。いずれはプロとして食べいけるようになりたい!…それで今に至ります。
―創作の頻度はどんな感じなんでしょうか?
歩いている時や車を運転中に思いついたら書きとめる感じですかね。日々の暮らしのなかで言葉が降りてくる感じです。年間5~60以上は作ってます。
パブリックイベントのアイディアもそんな感じでネタ帳をiPhoneに入れています。
―宙丸さんは詩を読むだけではなく、舞台でパフォーマンスをしていますが…それも『詩』と呼ぶのでしょうか?
一般的ではないけれど、僕にとっての『詩』ですね。舞台衣装などを着ずに詩集を持って朗読していたら詩人ぽいのかもしれませんが、他の詩人が朗読してるのを見た時に納得がいかなくて、自分なりに今のスタイルになりました。
試作の時、『どこで詩を読むか?っ』ていうシチュエーションを考えて作ってます。僕にとっての詩って『吐き出す』のではなくて他者がいることが前提で、聞いてもらうことが大事なんです。
―詩人って部屋に籠るイメージですよね
僕はどちらかというと動き回る詩人ですね(笑)
人の詩を読むより音楽を聞いたりするほうが好きですね。詩集なんて全然読まないし、他の人の詩も全然聴かない(苦笑)。本当は『詩』、好きじゃないのかも…(笑)
結局作品が良ければいいと思っているので、詩人ぽくないことも平気で言いますね。
―アーティストって自己完結なアートをする傾向があると思うんです。宙丸さんは外に発信していて逆ですね。プロ意識を感じます。
僕はみんなに楽しんでもらうのを大事にしてます。アート至上主義でなく『楽しい』が大事。世の中に他者がいなかったら制作しないですね。
―パフォーマー性の方が強いですね。
英語圏で『詩』を日本語でやるっていうのはデメリットなんだけど、できないからこそ詩のパフォーマンスは字幕を使って字幕でしかできない表現する…。デメリットを逆に個性にしていくっていうのをやっています。
―詩人って儲かりますか?こういう俗っぽい話はみんな好きなんで(笑)
儲からないです(笑)
直木賞作家のねじめ正一さんですら詩や朗読だけじゃ儲からないって言っているから、正直難しいと思います。僕の場合はパブリックイベント企画の方で、グラントとか企業タイアップとかでお金になる可能性があるという感じです。
収入って大事ですけど、楽しいのが一番。で、楽しくやっていれば収入がついてくるのではないかと思ってます。
―そういえば、日系コミュニティセンターのギャラリーショップでも洋服を置いているデザイナーのテリーササキさんの洋服のモデルもやっていますね。今日もテリーさんの洋服ですね(笑)
(照笑)テリーさんにはイベントなどでの衣装提供もしてもらって、すごいサポートしてもらっています。
―11月にカナダと東京をつなぐイベントとして テリーササキさんのファッションショーと共にバンクーバーの日系カナダ人たちと東京でグループ展をしますが(著者も絵画で参加します笑)宙丸さんもオープニングレセプションでパフォーマーとして参加しますね?
はい、9月号『Meets』でも掲載された江崎とし子さんとコラボで曲を作っているところです!僕が詩を作ってとし子さんが曲&歌を担当しています。曲の間に僕の朗読をいれたりして。バンクーバーでは来年1月にCD発売イベントをやろうと思っています!ジャケットレイアウトは“ゆりえ・ほよよん”です(笑)
―私のインタビューにはちょいちょい“ゆりえ・ほよよん”が出てくるのでそろそろ“ゆりえ・ほよよん”を取材しないといけないかな(一同笑)

ねじめ正一さんとコラボイベントをしますね?ねじめさんとはどういう感じのパフォーマンスを?
ねじめさんとは違うタイプのパフォーマンスをできればいいなと思っています。僕は一人芝居的なのや字幕を使った新しいタイプのパフォーマンス。ねじめさんはシンプルな朗読スタイルなので、対比できればと思っています。
―私は青春時代にねじめ正一さんの小説やエッセーを読んでいたので、イベントが楽しみです。
日本で本をいっぱい出しててかなり有名な人なんだけど、昔はアウトローでやっていたらしいです。便器にまたいで朗読してたり、素っ裸で朗読したり…
―え、じゃあ宙丸さんもそれやるの?
いや、それだけはやるなと(ねじめさんに)言われてます(笑)
文章の中に(笑)がふんだんに使われているように、終始笑いの耐えないインタビューになりました。
ねじめ正一さんとのポエムイベントは著者も観てきたので、The Bulletinのウェブサイトの方に記載予定です。
意欲的に活動している宙丸さんのサイトをチェックして参加してみてください。
[文と写真:Sleepless Kao]