Meets: Salt Spring Islandでの出会い 

 今回はSalt Spring Islandで オーガニックファームをしている安江カイさんのお宅にステイ。たくさんの出会いがありました。

Kai-san, Ike-san, sleepless kao

 バンクーバーからデルタのフェリー乗り場まで音楽家の友人たちと車で向かいます。

 なにせ時間に自由なアーディスト3人だったのですっかり朝の通勤ラッシュを忘れていて大誤算。グーグルマップでおよその到着時間を見るとフェリーの出る時刻を過ぎている。もう無理か、次の便でビクトリア経由(ものすごく時間がかかる)かと思っていたのですが、フェリーの出発時間ギリギリにゲートをくぐり、最後尾でなんとか間に合うという奇跡が起こりました。

 3時間弱の快適なフェリーの旅を終えSalt Spring Islandに到着、ファームに向かいます。

 ファームのゲートをくぐると犬が出迎えてくれました。奥様の生恵さんは初めて会ったとは思えないほど自然に私を家のなかに招き入れてくれたので、会って十分後にはちゃっかりくつろいでいる自分がいました。

 ファームをなんとなく散策しているとたくさんの鶏が私を追ってきます。すごい勢いで追っかけてくるものもいて近くで見ると結構大きい。餌をもらえるとでも思って追っかけてくるのかその数の多さに(かわいいけど、、怖い)と思っていると車で『オーガニックファーム』のオーナーの「安江カイ」さんらしき人がやって来て、「ちょうど雌鶏が卵産んでるから見る?」と声をかけてくれました。生みたての卵を手の上に乗せられ、なんか感動。「ピンク色の卵より青色の卵の方が貴重なんだよ」とカイさん。

 カイさんの横で助手のように立っていたのは博士と呼ばれてるタカさん、ナメクジを研究していた生物学者。只者ではない感じがプンプンします。

不思議なのはここにいる人たちは初めて会ったにもかかわらず、昔から知っている人のように会話が始まります。人懐っこいというかなんというか…。

 夕飯は生恵さんが庭でハーブと野菜を採ってきてサラダを作り、カイさんが居間にある囲炉裏で大きな肉をBBQ。家の中で轟々と火が焚かれ、今にも天井に届きそう…「カイさん、火事です!笑」何食わぬ顔で豪快に肉を焼くカイさん。あちこちに「火の用心」の文字が書かれているのもうなずけます。こういう感じでお構いなしなのでインシュランスが下りないのだそう。笑

  ご飯を食べた後は楽しいハウスコンサート。バンクーバーから一緒に来た音楽家たちと、島に住んでいるパーカッションのホセさん、マンドリンのブルースさん、ギターのアランさんで音合わせが始まりました。

 カイさんと生恵さんが連絡をした島の人たちが次々とやってきて家の中はライブ会場となります。宴もたけなわ、気分も乗ってきたカイさんが隅っこで気分良く太鼓を鳴らし始めます。森の中での演奏会はまるで『ジブリアニメ』に出てくるような雰囲気です。演奏会が終わるとワインを飲みながら会話を楽しみ夜は更けていきました。

…なのですが、アルコールが飲めない私…つい楽しい宴で飲んでしまって大変なことに!頭が割れるし気持ち悪いはで みなさんに迷惑を(汗)。生恵さんが「ターメリックがいいわよ」と持ってきたものは生姜のような根っこ。私はカレーに使うパウダー状のものしか見たことがなかったので、割れるような頭の中で(ターメリックってウコンのことだったのか〜)と思いながら差し出された生のウコンをかじりました。そのおかげか分かりませんが翌朝は二日酔いにはならず、鶏の「コケコッコー」の鳴き声で爽やかに起床。

 酔っ払っていたので気がつかなかったのですが歯ブラシが真っ黄色なのにびっくり。ウコンの威力が観てとれます。キッチンに行き、黒い薪ストーブの上に鉄のフライパンを置き、昨日の青い卵とピンクの卵を割り入れ目玉焼きを作ります。生恵さんがストーブの下部にある扉を開けパンを温めなおしてくれます。さりげなくカイさんがストーブに薪をくべてくれてお湯を沸かす。オーガニックなコーヒーの香りが立ち込めてきます。綺麗なおっぱい型に焼きあがった目玉焼きに生恵さんがコースソルトとハーブをかけてくれて、みんなででっかいストーブの前(ここが家の中で一番暖かいから)で朝食です。

 ファームの1日はやることがたくさんあるけれど、ゆっくりゆっくり時間が流れていくように感じるのはなぜなのだろう。

 生恵さんに子供の頃の夢はなんですかと質問してみる…「子供の頃は夢という夢はなくって、、しいて言えば、郊外に住んで、今あるような形の生活がしたいなあって思ってたかなぁ。フランスの田舎の方にちょっと住んでいた時にこういう生活できたらなって思っていてSalt Spring Islandに来たら、あぁ、ここだ!って思ったの」

素敵な笑顔で穏やかに語る生恵さん。夢を叶え自分の世界を持っていてとても素敵です。

 薪で沸かした優しいお湯の露天風呂に浸かり(居間からもどこからも着替えてるとこががっつり見えますが誰も気にしない笑)満点の星空と月を楽しみます。

 カイさんが「これね、日本の人にもらったの」とハズキルーペ(メガネ型拡大鏡ルーペ)をかけて私の描いた絵本をゆっくりしっかりと見てくれる。

 島に住む人たちは自然、食文化、アートに深く関わっていて時間の使い方がとても上手な気がします。バンクーバーでせかせかしている自分に気がつかされました。

 

 またSalt Spring Islandを訪れた際に個々にゆっくりお話を聞けたらなと思っています。

 Salt Spring Islandで心温まる有意義な時間を過ごされたい方はKai Yasue Salt Spring Farm

 

[文と写真:Sleepless Kao