ガスタウンにある“Maison Kitsuné”をご存知だろうか。
私がそのKitsunéに出会ったのは青山で展覧会をした時でした。ちょっと一息つこうとギャラリ ーから数ブロックのカフェに出かけた時、狭い通りにいきなり出現した広々としたおしゃれな空間に「やっぱ青山はハイソだなあ」と痛く感動したのです。そのKitsunéが、バンクーバーのしかもガスタウンにあるのです!2021年のソフト ローンチには大勢の人がガスタウンの石畳の上に並んでいるのを見ました。
2002年にDJのジルダ・ロアエックと Masaya Kuroki2人が設立。 Café Kitsunéに隣接している Maison Kitsunéメゾン キツネ ブランドは、伝統的なフランスのウェアをモチーフに、高品質の素材と職人技で主に20代30代をターゲットにカルト的な人気を博しています。その後、独自のレコード レーベルであるキツネ ミュージックKitsuné Musiqueを展開してアール・ド・ヴィーヴル(フランス語で「暮らしの芸術」)を発信しています。
青山のカフェでも全てが心地よいリズムに包まれていて居心地が良いなと感じた理由は、創設者が音楽にも浸透しているからだったんですね。
ここ、ガスタウンのKitsunéでも店員さんがとても丁寧でフレンドリーなのですよ( そこは日本と変わらない)。なのでCaféに行くとMaisonの方も寄るという感じです。中でも日本人のYoshiさんはまだ29歳という 若さでスーパーバイザーのポジションに就いています。どんな経緯で日本から来てバンクーバーのメゾンキツネで働いているのかが気になりましたので取材を申し込みました。
―店舗でのジョブタイトルはなんでしょうか?
セールスとオペレーションのスーパーバイザー です。
―日本からいらしたのでしょうか?
日本からバンクーバーに来たのは2021年の 12月からです。1年半くらい経ちますかね。 Maison Kitsunéで働き始めたのは 2022年の5月で、10月にスーパーバイザーになってフルタイムで働いています。
―すごく早い出世ですね。ワーホリではなく、ワークで仕事をどうやって見つけたのですか?
Indeed(インディード)で見つけました。オーストラリアにいた時もIndeedでよく求人募集をチェックしていました。
―えっと、オーストラリア?
僕、18才から24才までサッカーのセミプロでオーストラリアに住んでいました。 大学も行きたかったので勉強もできて仕事もすることができるセミプロを選択したんです。
―じゃあ英語はバッチリですね
これ書いて欲しいんですけど、僕、サッカーばっかやっていたのでオーストラリアに行った当初はアップルのスペルも書けなかったんですよ。笑
仕事はアディダスで販売員をしていました。それとは別に、オーストラリアの日本語学校でサッカー教室を設立したんですよ。僕の後にも、サッカーだけが取り柄の日本人の子が子供たちとサッカーを通して子供達から語学が学べ、お金ももらえる場所を提供できたらなと思ったんです。
―は〜、色々やっていますね〜
欲張りなのでなんでも挑戦したいんですよね。色々やってみてダメだったらまた違う方向に行けばいいかなって感じですね。今はまだ20代なので一つの点にしかすぎないんですけど、経験を積んで点の集まりが何かにつながったらいいなと思いながら色々なものにチャレンジしています。
―海外でフルタイムの仕事について大変だと思うことは?
多分、サッカーで鍛えられているんだと思います。 日本の運動部って下級生は汚れ仕事ばっかじゃないですか。そんじょそこらの事じゃめげないというか、このぐらいのことは平気って逆に思いますね。 サッカー選手って負けず嫌いが多いんですよ。努力をするのが当たり前だし。
―メンタル強そうですね。
メンタルは強いですよ。笑 怪我でサッカーを引退して日本に戻った時に、イタリアのアパレルで働いたんです。インポートエクスポート、プロモーショ ンなどを担当する総務をしていました。40店舗展開するグローバルな会社で働いていたら、また海外に行きたいなって思ってまた海外に来ました。
―バンクーバーを選んだのはなぜですか?
奥さんがバンクーバーに住みたいというのでバンクーバーに決めました。
―奥様は日本の方ですか?
はい。奥さんとは高校が一緒で、最初は振られ続けていたんですけど僕が猛烈アタックしてやっと結婚できたんです。多分、50回以上はアタックしていると思います。笑
50回もアタックすると無理だと思えるものでも実るものなんですね!そのメンタル、すごいなー。
めげないですよ。根底にサッカー精神が根付いてるんです。寝て起きたらリチャージされて大概のことはへこたれません。
―Maison Kitsunéはバンクーバーではそんなに知られていないと思うのですが、なぜここで働こうと思ったのでしょうか?
Kitsunéはライフスタイルブランドっていうことで高校生の頃から知ってはいたんです。 アディダスとニューバランスも受けて受かっていたのですが、やはり自分が成長している中で一緒に成長できる仕事、会社がいいなって思って今急成長しているMaison Kitsunéに決めました。 仕事量は多いですけど学ぶことも大きいです。 サッカーでも大きいチームに行くとスーパースターが多いじゃないですか。僕はベンチにいるよりフルで働きたいんです。汚れ仕事を率先するというか、人の嫌がる仕事を意識的にやるようにしています。 近道はない。これもサッカーで学んだ事です。「虎視眈々」と上を狙うタイプなんですよ、僕。笑
―日本とカナダで違いとかありますか?
バンクーバーはバスが乗りやすい。
―即答!なんですかそれ?笑
真面目な話です。僕身長が190センチあるんですが日本だと吊り革が僕に当たってくるんですよ。 電車の中吊りが頭にあたっちゃって。笑。生活するには海外の方が生活しやすいですね。
―Yoshiさんも若いですが、これからワーホリやコープで働きたいと思っている若者にアドバイスを。
自分の英語の基準を示す意味でもIELTSのテストの点数だったり、何か指標があるといいと思います。Maison Kitsunéやアパレルで働きたいのであれば販売の経験があるといいですよね。Café Kitsunéで働きたいのであれば バリスタライセンスをとっておくとか…日本で準備できることはたくさんあると思います。
―今後の目標(仕事)などお聞かせください。
おっきな家を建てたいですね。
―いきなり自分のおっきな夢の方に行きましたね!
バンクーバーでは無理そうなので、実はもう日本に土地があって。奥さんのお父さんが大工さんなので家を建ててもらおうと考えています。まだ若いのでこれからどこに住んで何をするのかはわかりませんが、選択肢を持っておくのはいいかなと。
―話はつきませんが今日はありがとうございました。お話、本当に面白かったです。
私もぼけっと日々暮らしていてはいかんなぁ、と勉強になりました。 笑 ふわっとした雰囲気で物怖じせず初対面でもすぐ打ち解ける人柄、努力を惜しまず小さなことから大きなものまで計画を立てているのにただただ感心でした。
ガスタウンのMaison Kitsunéに寄ったらYoshiさんに話しかけてみてください。隣接しているCafé Kitsunéのカフェとクロワッサンも美味しいですよ。
Web site: maisonkitsune.com
[文:Sleepless Kao]