満面の笑顔で迎えてくれたのはグランビルアイランドのNET LOFTの中にあるポストカード屋さんのオーナーの花城さん。ハイビスカス柄のワンピースが夏らしくとても華やか。沖縄の人特有のイントネーションで歌うように話すのがなんだかとても可愛らしいです。
沖縄ではハイビスカスを『アカバナ』って言うのね、ちょっと沖縄らしさを出そうと思ってハイビスカスを見せたかったのね、これ自分で作ったのよ~。
ー自分で作ったんですか? すごい、そんなこともするんですか?
はい、ポストカードを売るだけじゃなくてなんでも作りますよ~、太鼓の衣装も作るのよ~。
―沖縄の言葉は本土と全然違って、読み方も違うんですね。
面白いのは地域によっても違うんですよ。私の話す宮古島の方言はわからない人が多いかな~、そして逆に私は沖縄本島や他の離島の方言とかわからないんですよ。
ーこのお店はいつオープンしたんでしょうか?
32年前にオープンして私は25年間働いてるの。以前はカナディアンのオーナーと2人でオーナーシップを取っていたのだけど今年の頭から一人独立オーナーです(笑)
店舗は狭いけれど、在庫調べでハガキだけで7千枚あって、この引き出しにもいっぱいハガキ入ってますよ~。順繰りに出してディスプレイして、行事、季節によって入れ替えてるんです。地元のアーティストのものをどんどん取り入れていて、ゆくゆくはギャラリーも兼ねたショップにしようと思ってます。
―その時は私のアートもよろしくおねがいします(笑)お客さんが絶え間なく来ますね、夏は忙しそうですね
クルーズシップのシーズンですし、観光客は大体グランビルアイランドまで来るから忙しいよね~。
彼らはローカルのものを買っていくのね。うちは世界中のポストカードを置いているんだけど、ドイツの人がドイツのカードを買ってくの。
―え、自国で買えばいいのでは?
オランダ、ドイツのユーモアは洗練されてて面白いのね。 それでこのお店で面白いカードを見つけて「まさか、ここにあるとは~」とか言って笑って買ってくのよ~。
外国のお客さんだけでなく、ローカルのコレクターもここに買いに来るのよ。
一人で50枚以上買う人もいる。『ポストクロス』って言ってポストカードでやり取りする文通みたいなコミュニティもあるんですよ。
―どうしてポストカード屋さんで働くことになったんですか?
小さい頃から慣れ親しんでたからかな、文通が大好きでね。離島で生活してた私の家族はハガキ文化が結構浸透していてそれでコミュニケーションを取っていた感じかな。
ポストカードって長く書かなくてもいいでしょう?それで感動、想いを届けられる、そういうところが好き。お客さんとも「イメージで気持ちを伝えてくれるポストカードっていいよね」っていう会話が多いですよ。
私ね、切手も好きなのよ。スワップマーケットに行って、切手を売ってる人との会話も楽しいの。切手とかポストカードって生活に密着したモチーフを取り入れてるから好き。切手は公募するからどんどん作られていくでしょ?一枚一枚の絵柄に時代を感じることができるの。時世の移り変わりを感じる時、心がときめきますね~。
ポストカードの表のイメージを見て想いを馳せ、裏返し、送り人からのメッセージを読んで、切手の絵柄でまた喜ぶと3段階、4段階と楽しめる、そんなポストカードが大好きです。
―趣味も兼ねてて好きなものに囲まれてていいですね(笑)
幸せですよ~(笑)
―先ほど太鼓の話がチラッと出たのですが?
はい、『チムドンドン』やってまーす
チムは『肝』どんどんは『鼓動』の意味
肝がどんどんする『エイサー』を楽しんでます
『エイサー』は沖縄独特の太鼓踊りで念仏歌が伝統的なエイサーの唄だったんだけど、農作物の豊穣を願う歌や恋歌なども歌われます。昔はお盆の時期に各地区で精霊の供養を目的に演舞しました。
地域ごとに独特なエイサーがあって、地謡(じかた)の三線弾き、エイサー大太鼓、締め太鼓、でんでん太鼓みたいなパーランクー、手踊り、おどけ役のチョンダラーと道行きをして、家々を巡っていくんです。戦後に地域青年会活性化の為にエイサー大会などが開催されるようになって、お盆の時期だけに限らず芸能エイサーが盛んになって、1980年代に舞台演舞ジャンルの創作エイサーが生まれました。それが私たちバンクーバー沖縄太鼓が演舞するエイサーで2004年に発足しました。
―メンバーは沖縄の人が主ですか?
意外に他府県の人も多いんです。今、メンバーは10名から15名ぐらいでコクイットラムにある東漸寺(とうぜんじ)で毎週月曜日に2時間程練習してます。
―どこへ行けば観られますか?
スティーブンストン桜祭り、ジャパンフェア、台湾フェスティバル、ノースショアフォークフェスト、パウエル祭、日系祭り、
リッチモンドコミュニティアソシエーションがオーガナイズするフェスティバルはすべて呼ばれてます。リッチモンドワールドフェスティバルというイベントはすごい大きいのよ~。それが8月下旬にあって夏休みの最後の週はとても忙しいの。
―夏はいつも以上にお店も忙しいし、お祭りも目白押しですね。
「ハイサーイ、還暦になってもがんばるぞ~!(笑)」
沖縄の日差しのようにとっても明るい正美さんと話して元気をたくさんもらいました(笑)
グランビルアイランドにおいでの際はNET LOFTの中にある『The Postcard Place』をのぞいてみてください。素敵な笑顔の正美さんに出会えますよ。
沖縄太鼓の公演は、8月はパウエル祭、日系祭、そして10月11日にMichael J fox theatreで沖縄から琉球和太鼓エイサー団体・鼓衆若太陽(チジンシュウワカティダ)というグループと前回本誌でも取材をした美音さんとの公演があるそうなのでそちらの方もチェックしてみてください。
[文と写真:Sleepless Kao]