Local Spotlight: THE HOUSE

“THE HOUSE” は、2012 年Vancouver Women In Film Festival で、Best Screenwriting Award(Lim 監督)とBest Performance Award(Natalie さん)を受賞。また、同年Female Eye Film Festival では、Best Canadian Feature Award を受賞している。

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Local Spotlight:
THE HOUSE (dir Desiree Lim)
“a different kind of ghost story”

The-House

ウォールストリートの証券会社員として成功を収めてきた主人公Jean Kaneko。9/11と金融機関崩壊を経験した後、利益優先の業界に嫌気が差し、華やかなキャリアを捨て自分探しの為世界中を旅するが、自身を見失ったまま故郷Vancouverに戻ってくる。母親に知らせず、友人の両親が所有する空き家を借り、そこで年末年始を一人静かに過ごす予定であった。人里離れた郊外に位置するその豪邸は、誰にも邪魔をされずに旅行記を仕上げるには最適であった。ところが、自分以外の居住者達、つむじ曲がりな大学教授Kevin Carrington、怒りん坊なKevinの妹Liz Carrington、Lizの献身的な夫Darrel Howe、彼らのタクシー運転手だったRaja Vivendra、そして軽薄なプレイボーイGeoff Blankと対面。しかも彼らが成仏できないでいる幽霊だと分かり、驚きと戸惑いを隠せない。しかし、状況を受け入れる事を選び、同居者達の事情を知るにつれ、それぞれが過去の過ちに対する後悔に苦しんでいる事が分かり、Jeanは共感を覚えずにいられない。(サイコスリラー、109分)

お化けが出てくると言うと得てして怖い話だと思われがちだが、“THE HOUSE”はそれに反し、各キャラクターとそれの深層心理が丁寧に描かれ、人生観をテーマに奥が深い作品である。その為、それを演じる役者の演技がストーリーの重要な鍵を握る。Lim監督が吟味して選んだ俳優陣は、それぞれの役どころを的確に理解。あの世とこの世の間に閉じ込められたまま先に進む事ができないゴースト達は、自分を見失い人生の中で宙ぶらりんになったJean自身なのではないかと思われる。そのJeanを演じるのは日系カナディアンのNatalie Skyeさん。Lim監督とは“Floored by Love”等で以前にもコラボレーションをしている。

また、ロケ地に選ばれた豪邸はガラス張りで室内の中央に水泳プールがあり、作品に合った独特な雰囲気をかもし出し、もう一つのキャラクターとして重要な役割を果たしている。このロケーション選びには裏話があり、友人の両親が売りに出していたこの豪邸はLim監督の第一希望であったが、売買が成立した為諦めざるを得なかった。そこで、他の家をロケーションとして確保したが、撮影開始2週間前にキャンセルされてしまう。途方に暮れたLim監督のところに、友人より家の売買が取り消しになったとの連絡が入り、念願叶ってこの豪邸での撮影が許可された。運命の神様からのギフトである。

 

JeanAtDinner(TIMED)“THE HOUSE”は、2012年Vancouver Women In Film Festivalで、Best Screenwriting Award(Lim監督)とBest Performance Award(Natalieさん)を受賞。また、同年Female Eye Film Festivalでは、Best Canadian Feature Awardを受賞している。

作品は6月1日にリリースされ、ケーブルテレビのVOD、及び、iTunes、Amazon Instant Video、Google Play、Vudu、Xbox Video等にて鑑賞できる。作品に関する詳細は公式サイト

www.the-housemovie.comを参照してください。 

[文・天野雀]