V市の高層建築街に黒いカラスが飛んで、歩いている人の頭を後ろから攻撃する苦情が出ている。まるでヒッチコックの白黒映画を見ている風景が脳裏に浮かんでくる。気候変動、ヒートアイランド現象が起き生態系の変化を招いている。熱中症の増加や局地的な豪雨も増えている。
7月はBC州の各地で森林火事が185件発生、10日にはバーナビー市で山火事があり、夕刻には高温と乾燥、煙霧が『灰色の空』となり、煙の微粒子と匂いで目と喉が痛み、呼吸困難に悩んだ人もいた。濃い灰色の空に朱赤の太陽が浮かんだ不思議な瞬間だった。
「暑くなる都市」
人口が密集している都市は交通量が多く、特に夏は自動車の排出熱とエアコンなどの建物熱、家庭排熱と道路地表面の高温化により大気中に漂う都市の排熱と太陽熱がより気温を押し上げる。市の対策として高層建物の屋上庭園に草地や樹木を植える自然環境造りが盛んに行われている。市街地への車乗り入れ規制、自転車の活用によりCO2 排出量が減少している。市内に多種の木を植える植林計画、風力など再生可能エネルギーの利用拡大を促す取り組み等がある。晩市は1886年(明治19年)初めて市政を布し、人口2,000人で選挙有権者は499人だった。日移民は『近江商人』滋賀県出身が長旅をしながら行商、品物を売り歩いた。オードリー・小林博士の研究,1896年に滋賀琵琶湖東岸の開出今村調査によると同地域からの出移民が急増した。開出今村では洪水が多発、出移民の動労賃金が故郷の家族や親戚の暮らしを支えた。
『彦根史』によると1350年代(南北朝時代)奈良興福寺から自立した豪族・今村掻部が犬上郡今村に居城していた。彦根城主・井伊家四代の直興公が大洞山弁財天を1696年(元禄8年)に建立した。その頃の取り扱い商品は茶、油、胡椒、麻等で鈴鹿峠を超え北伊勢方面に通商した『山越商人』『四本商人』、八日市周りの『神崎郡南』『北五筒村商人』があった。
「海水面温度変化」
海洋の水深1000メートル以深では塩分濃度が高い低温の海水が流れ込み海底をゆっくりと循環している。海洋深層水は、清浄でミネラル分豊富で食品や飲料水としても使われている。地球温暖化すると海水が十分に冷却されなくなり、深層に送り込まれる海水量が減り、循環速度に影響があらわれる。1896年に東北地方では貧困が拡大し、人々の生活は厳しい状況であった。宮城県の村人は加奈陀に渡る渡航費を工面するのに苦労した。鮭とイクラ塩漬け工場の経営者・及川甚三郎は宮城県の人々を加奈陀に移民させる為に『自らの命』を懸けた。彼が最初に加奈陀に渡ったのが1896年だった。1899年は不作飢饉で多くの村人が餓死した。渡航費60円は村人には工面できず、応募した9人が及甚と共に加奈陀に渡った。1906年、及甚は故郷に戻り、女性3名男性79名が9月に船に乗り込み、『水安丸』は加奈陀に向けて出航海した。
「海洋汚染」
地球表面の7割を占める海洋環境は年々悪くなっている。船舶の事故による原油流出や下水家庭用の雑排水、有害化学物質や家庭用ゴミ、不法投棄の産業廃棄物も河川を通じて海に流れている。目立つ海面浮遊汚染物質の発泡プラスチックとペットボトルが増加している。汚水が海洋に流れ込むと、その中に含まれているリンや窒素で海中の栄養分が過剰になり、植物性プランクトンが大量発生する。海面が赤く濁り『赤潮』で養殖魚のエラに詰まると死に至る。『開出今村』の犬上郡の名称が書物に現われたのは天平20年(748年)に『正倉院文書』が初めてで、『和名類摂抄』によると犬上郡には墺古次の11郷(アジキ・安食、コウラ・甲良、アマゴ・尼子、タカミヤ・高宮、タカ・田可、ノナミ・沼波、シミズ・清水、カンベ・神戸、アナタ・貴田、アオキ・青根、トコ・駅家)があったと記録されている。
「燃える氷」
メタンガスと水からなる氷状の固体物質で水深500メートル深海にある堆積物中や永久凍土に含まれているメタンハイレート『燃える氷』がある。海底下に大量にある為、その採取方法を得とくすればクリーンエネルギーとして活用することができる。メタンハイドレートは海水温や圧力変化で容易に融解し、大量のメタンを発生する。二酸化炭素と比べて23倍の温室効果があり、海水温上昇がこの融解に繋がると心配されている。JOGMEC『新世代エネルギー・メタンハイドレート』研究調査でその一部が気泡となって海面まで到達していることが判明している。
『架橋』building a bridge日加両国信仰、加奈陀日系人合同教会協議会は架塔となることを望んでいる。1892年に米国加州から河辺貞吉牧師が加奈陀伝道し、BC州新西院市から全土に広がった。現在、加奈陀全東モントリオール、西バンクーバーと繋がり栄えている。
「化石燃料」
地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの中で最も大きな影響を与えているのが、二酸化炭素である。生物の代謝作用、石油や石炭などの化石燃料を燃焼させた際に排気ガスとして大気に放出されている。石炭、石油、原子力、天然ガスなどのエネルギーを第1エネルギーというが、世界中(国際環境研究)ではこれを石油換算で年間約150億トン必要としている。今後、さらに発展途上国の経済が成長することで、この需要は増加する予測である。『一枚の古い写真』は1899年、福岡県から出移民で渡航して来たトメ上田さん(20歳)のものである。ケローナでトマトと玉ねぎをつくる農家に嫁ぎ、ノブ次郎上田さんとの間に2男4女を授け15人の孫と12人のひ孫と共に生涯働き続けた。
[文・天野美恵子]