
今回は先日パウエル祭で行われたTerry Sasakiのファッションショーの裏方を務めた青木麻理子さんにインタビューをしました。
—バンクーバーに来た経緯をお聞かせください。
ワーホリでバンクーバーに来ました。3ヶ月ESLに通った後、ジャパレスで働こうかと思っていたのですが、洋服が作りたいという気持ちが大きくて周りに旨を伝えていたんです。そうこうしているうちにホストマザーを介して洋服を作って欲しいという人たちに出会うことができ、家で服を制作していました。
その後、ブランドを立ち上げたいというカナディアンの人と知り合い、そこで縫製のお手伝いをしました。
Terry Sasakiさんも紹介されて、ファッションショー用の洋服を作るお手伝いをして、今も週に2回サンプル製作の為Terry Sasakiさんのアトリエに通っています。
—バンクーバーに来る前は何をしていましたか?
文化服装学院を出て、4年半縫製会社にてprêt-à-porter(高級既製服)を来る日も来る日も縫ってました。
その後、東京のコムデギャルソン本社で縫製の仕事を3年半しました。
自分のスタイルを模索中で、色々経験したいなと思ってカナダに来ました。

—今回Terryさんのファッションショーのお手伝いをしてどうでしたか?
楽しかったです。それは日本では味わえない経験でした。
前の会社でもパリコレの用意をしたりしたのですが、規模が大き過ぎて自分が関わった感がありませんでした(デザイナーの意見がすべてなので)。
今回お手伝いをさせてもらい、小規模だったからこそ自分の意見も取り入れられ、やりたいことができて最初から最後まで制作に携えたので達成感がありました。
バンクーバーでは、やろうと思えば自分で何かを始めることができるんじゃないかなと思います。
でも自分的にはまだ自分のものを作ろうという力がないと感じるので、もう少し日本で勉強して自分のやりたいことがわかったらまた戻ってこようと思っています。
—ファッションとバンクーバーはちょっと結びつかないのですが、なぜここを選んだのでしょうか?
元々はワーホリでデンマークに行こうと思っていたのですが、語学力が必要かなと思い英語圏のカナダに変更しました。
—帰国後のビジョンとかありますか?
ミナペルホネンという日本人が立ち上げた北欧テイストのブランドがあるんですが、そこではデザイナーの皆川さんがテキスタイルデザインをした布から洋服を作っていくんです。 洋服を使ったあとのテキスタイルで小物を作ったり、リメイクする店舗が京都にあるんですがそこにアプライしようと思っているところです。
—しっかりしたビジョンができてるんですね。
お仕事は日本でと前々から考えてはいたんですが、経験値として海外で暮らしてみたいと思っていたんです。
ワーホリは30歳で期限があるのでバンクーバーに来るのを先攻しました。
—今後デンマークにワーホリに行くとか考えていますか?
今は未定ですね〜。
カナダのワーホリ経験は、自然と都会が近くにある環境がとても気に入りました。なので他の国に行って、別の経験もして見たいです。
デンマークのホルケホイスコーレという所に何歳でも寮生活をしながら行ける学校があるので、年を重ねた後に行ってみたいという思いはあります。
—そこでは何を学びたいですか?
デンマークにはファッションにおいて特化してるものがいろいろあります。手工芸、テキスタイルも好きなのでそういうところでまったく違う視点から勉強したいです。そこらへんはまだふんわり考えてます。
—カナダじゃないんですね?
やはりファッションは日本のほうが面白いものが集まってくるような気がします(笑)
—やっぱりそうですよね〜(笑)
今後、どんなものを作っていきたいとかありますか?
技術をもっと向上させたいので好きなところで働きながら自分の技術も磨いていきたいです。
洋服とか小物でもいいので何かを生み出し続けたいですね。
自分で作るものはシンプルなものが多いので、逆にノルディックや大判のテキスタイル、海外で暮らした経験を取り入れ、全てをうまく融合したものが作れたらと思います。
ふんわりした女性らしい青木さんですが、洋服を作っている時は真剣そのもの。お話を伺って、洋服作りに対する確固たる信念が感じられました。日本に戻ってもバンクーバーでの経験を生かして頑張っていってもらいたいと思います。

[写真・文:Sleepless Kao]