廣川恭一さん

働きing:廣川恭一

廣川さんは今年のパウエル祭で木工製品を売っていましたよね?早い時間に物がほぼ完売していたのですごい若者が出て来たなぁと注目してたんですよ。
廣川恭一さん
廣川恭一さん

—廣川さんは今年のパウエル祭で木工製品を売っていましたよね?早い時間に物がほぼ完売していたのですごい若者が出て来たなぁと注目してたんですよ。

パウエル祭は2回目の出店ですが、ありがたいことにあっという間に売れました。

廣川恭一さん

—いつ頃バンクーバーに来たんでしょうか?

 2010年、28歳の時にワーホリできました。本当は働く気も英語学校に行く気もなかったんです。ただキャンプ道具を持って旅に行こうと思っていたんです。

 もともとアウトドアや旅が好きで大学時代は自転車で台湾、ヨーロッパを回ったりしてました。

 バンクーバーに来る前に沖縄とか種子島、屋久島など南の島をカヤックで旅していたんです。

 その時、沖縄の海の上で バンクーバーやアラスカとかを旅する人と出会ったんです。その人の影響を受けたのと、ちょうど日本で買ったカヤックのブランドがFeathercraftって言って、バンクーバーのグランビルアイランドに工房があるんです。何かの縁があるような気がしてバンクーバーを拠点にシーカヤックの旅をしてみようかなと。

—面白いですね。最初は旅目的でしたか。ではどのような経緯で今の職業に?

 もともと「ものづくり」が好きで、高校生の時にはホームセンターで材料買って来て机を作ったりしていました。

 大学は工業デザイン学科を専攻したんですが、結局「ものづくり」と言ってもコンピューターを使う事が多くて、それは自分には合ってないと実感したんです。

 その後、家具を作る職業訓練校で木工の基礎を学び、家具とかを作りたいと就職先を探し、江戸時代から代々続く建具屋で修行を5年ほどしました。

 組子、障子、欄間、お寺の門など。日本の修行はとにかく厳しくって 土日も働く忙しさでしたが、でもそこで カンナの使い方とか木の性質、道具の扱い方など基礎が身につきました。

 いつか自分で独立するつもりでいたんですが、若い時って遊びたいじゃないですか(笑)28歳で1年ぐらい世界を旅したいなと思い立ち、仕事を辞めて来たんです。当初はワーホリ制度もよくわかっていなくて、1年ぐらいいるなら取っていくビザかなと思って取得して(笑)、バンクーバーにこんなに長くいることになるとは全く思ってなかったんです。

 日本からキャンプ道具一式を持ってきて、シーカヤックの旅だけを考えていたんです。アラスカからカナダの西海岸を廻るチケットも用意してたんですよ。それが、来てすぐに働く事に(笑)

廣川恭一さん

—何がどうなってそういう事に(笑)?

 バンクーバーに来る数日前に、どんな仕事があるのかなって興味本位で検索してみたんです。

 そしたら大工関係の仕事があったので、なんとなしに簡単なレジメを送ってみたら、じゃあ空港で待ってますって返事が来て、当日社長が迎えに来て「じゃあお前明日からな」って。その次の日から働き出したんです(笑)。社長とは思いがけない出会いでしたが、今でもとても恩を感じています。

—すごいですね〜、そんな展開が!(笑)

で、思うんですが、来たのが5月で天気が良くて、夜も10時までは 明るいじゃないですか? バンクーバーっていい所だな〜、もうちょっといようかなって。なのに冬になったら雨ばっかで…ちょっと夏のバンクーバーに騙された感じです(笑)。

 今はスコーミッシュにあるBowerman’s Handcrafted furnitureで働います。今年の4月で3年経ちます。

徐々に自分の仕事も始めて週末は、依頼された茶室の障子とか家具などを作っています。

廣川恭一さん
廣川恭一さん

—バンクーバーに来た当初の目的は果たせたんでしょうか?

 やっと今年 ハイダ•グアイにキャンプ道具を持ってカヤックでまわる旅に6月の終わりから7月にかけて2週間行ってきました。

グアイ・ハアナス国立公園でキャンプしたりトーテムポールを見たりと充実した旅でした。

 今年はハイダ•グアイだったので、次はアラスカかな〜。

—これからのプランは?

 今バンクーバーに住んでますが、週4日の片道1時間のスコーミッシュ通勤はきついので近い将来スコーミッシュに移る予定です。自分の仕事の量が増えたら独立も考えてます。家具とか自分のブランドもできたらなと思ってます。日本の技術も活かしつつもそれにこだわらず、自分のテイストや個性が生かされた「ものづくり」を目指しています。

 無垢の木を使った家具とかを作っていきたいですね。

 はじめは穏やかな印象だったのですが、実はアクティブで、仕事も遊びも全力でこなしている廣川さん。魅力的な人でした。

 これからも素敵な作品を作り出していく事でしょう。ぜひ彼のウェブサイトで作品をチェックしてみてください。www.hirokawajoinery.com

[写真・文:Sleepless Kao