VIFFお薦め作品

100 Yen Love「百円の恋」 (Japan) 32歳にもなって実家暮らし、家業の弁当屋を手伝う訳でもなくグータラな生活をおくる一子。出もどりの妹と折り合いが悪くなり、渋々一人暮らしを始める。行き付けの百円ショップで夜勤の仕事に付くが、同僚は訳ありで癖の強い人達ばかり。唯一の楽しみは、仕事帰りにボクシングジムで練習中の狩野を覗き見する事だった。

100 Yen Love「百円の恋」 (Japan)

32歳にもなって実家暮らし、家業の弁当屋を手伝う訳でもなくグータラな生活をおくる一子。出もどりの妹と折り合いが悪くなり、渋々一人暮らしを始める。行き付けの百円ショップで夜勤の仕事に付くが、同僚は訳ありで癖の強い人達ばかり。唯一の楽しみは、仕事帰りにボクシングジムで練習中の狩野を覗き見する事だった。ある日、一子の事を気づいていた狩野からデートに誘われるが・・・。それまで生気に欠け無気力、無関心だった一子が、ある出来事で初めて屈辱感を覚え、それをきっかけに変貌。何となくで始めたボクシングに真剣に取り組む様になり、それによって自尊心を高めるだけではなく、今まで一子を侮辱してきた人達からの敬意を受ける様になる。そんな一子を主演の安藤サクラが好演。細かい表情の変化や姿勢に至るまで、その表現力の深さは素晴らしい。第一回松田優作賞を受賞した足立紳の脚本も良く構成されており、オリジナリティーの高い佳作。

  • Oct 2 9:45 pm: International Village #10
  • Oct 4 4:15 pm: International Village #10

My Friend Victoria (France)

8歳の孤児Victoria。親代わりの叔母が急遽入院した為、同級生Thomasの兄Edouardがベビーシッターとして迎えに来る。貧しい叔母の狭いアパートとは違い、Edouardの両親が所有する中流階級の家は、夢の様な場所として幼いVictoriaの目に映る。親切なEdouardにほのかな恋心を覚え、そこで過ごした一晩は、後のVictoriaの人生に多大な影響を与える事になる。叔母が亡くなり、叔母の友人Dioumaに引き取られたVictoriaは、そこでDioumaの同じ年の娘Fannyと姉妹同様に育てられ成人していく。作品はFannyを語り手とし、子供だったVictoriaが成長し、母親になり、人生の各基点でどのような選択をしていくのかが描かれる。Victoria役Guslagie Malangaは、キャラクターの感情を丁寧に、且つ、繊細に表現し好演している。地味だが美しく感動的な作品である。

  • Oct 1 6:15 pm: International Village #9
  • Oct 3 12:45 pm: International Village #9

We Did It on a Song (France)

フランス郊外に住む5人の卒業間近な17歳の学生達を追ったドキュメンタリー。無事に卒業する前にバカロレアテストをパスしないとならず、それの準備に追われつつ進路決定に悩む5人は、複雑な心境をポエムにし、作品で歌として表現している。David André監督は、作品を単なるドキュメンタリーとするのではなく、新鮮でクリエイティブな作品に仕上げる事に成功をしている。

  • Oct 5 7:00 pm: Vancity Theatre
  • Oct 7 1:15 pm: SFU Woodwards

In Transit (USA)

AmtrakのEmpire Builderは、シカゴからシアトルまでアメリカを横断する最も利用客の多い列車である。ベテランドキュメンタリー監督Albert Mayslesを筆頭にした監督陣は、各乗客のいきさつや旅の目的、また、その心境をインタビューを通して自らに語らせ、人情味あふれる作品に仕上げている。タイトルは、列車の通過点と人生の通過点の両方を提示し、車窓を流れる広大な自然を撮ったシネマトグラフィーも美しく、必見の価値がある傑作。

  • Oct 5 10:30 am: International Village #8
  • Oct 7 7:00 pm: International Village #10
  • Oct 8 2:00 pm: International Village #10

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[文・天野雀]