Still Alice
主人公Alice Howlandは言語学の教授。3人の子供と夫と幸せな生活を営んでいた。ある日、通常通りジョギングをしている最中、道に迷ってしまう。不審に思い神経科医に見てもらうと、思いがけず早発型アルツハイマー症と診断される。作品は、衝撃的なニュースがAliceと家族に与えた影響、またそれを受け止め、Aliceと家族がそれに対応していく過程での各キャラクターの心境を、丁寧に、且つ、繊細に描いている。また、海辺のシーン等、Aliceの視点で描かれた映像はとても美しい。アカデミー主演女優賞Julianne Mooreは、病気の過程を現実的に表現しつつ、Aliceを悲愴にしない様に好演している。ラストシーンでのAliceの表情は忘れがたい。Fifth Avenue CinemasとCineplex Odeon International Villageで上映中。
Cake
主人公Claire Bennettは不幸な交通事故により心と身体の両方に深い傷を負う。Claireが参加するサポートグループの1人Ninaが自殺。Ninaの自殺の心境が気になるClaireは、Ninaの夫Royに会いに行く。また、自身は事故後、夫Jasonと離婚。Claireの心の傷を理解し献身的なお手伝いSilvanaが、Claireの面倒を見ていた。Claire役Jennifer Anistonは、顔の傷のメイク以外はノーメイクでこの役どころを好演。アカデミー主演女優部門でノミネートされず、Golden Globe Awardsでも受賞を逃し、“The #1 Snub”となった。
Mortdecai
Johnny Depp演じるCharlie Mortdecaiは貴族出身のインチキアートディーラー。財政難の為、また最愛の妻Johannaの為に、盗まれた幻のGoyaの絵画を探し出す仕事を引き受ける。マフィア、警察、テロリストが関わり、絵画探しは簡単にはいかない。しかし、用心棒Jockの助けで数々の危機を乗り切り、Johannaの助けもあって絵画取得に成功する。主演Johnny Deppは、彼の過去の作品、Ed Wood、Benny & Joon、Cry-Baby等の様に奇抜なキャラクター描写で好演。Cheesyだが滑稽で楽しめる作品に仕上がっている。また、今回で三度目の共演となるDeppとJock役Paul Bettanyが息の合った演技を見せている。
Sitting On The Edge of Marlene(Canada)
地元フィルムメーカーAna Valineの監督デビュー作。Billie Livingstonのショートストーリー「The Trouble with Marlene」を基に、Valine監督自身が脚本を執筆。母親Marleneの詐欺の片棒を担がされ、それで儲けたお金で酒乱になる母親の面倒を見なければならない娘Sammie。普通の高校生としての生活を望むSammieは地元のチャーチグループに参加するようになり、それは母親との関係に微妙な影響を与えるようになる。Sammie役Paloma Kwiatkowskiが好演。また、Xavier DolanのMommyでは心優しい隣人のKylaを演じたSuzanne Clémentが、駄目な母親Marleneを演じる。2月27日から3月3日までVancity Theatreにて限定上映。
Elephant Song(Canada)
精神病院で医師の行方が分からなくなり、それの調査の為、精神科医Dr. Toby Greenが派遣されてくる。Dr. Greenは行方不明になっている医師の患者の1人Michael Aleenが、何か情報を握っていると察し、Michaelとのセッションを重ねる。Michaelを良く知る看護婦Susan Petersonから気をつける様に忠告されるが、患者のコントロールには慣れていると高を括ってしまう。Michael役は、監督で俳優のXavier Dolan(Mommy)。その多才さを発揮している。3月6日よりCineplex系で上映予定。
Wild Tales (Argentina / Spain)
去年VIFFで大人気だった作品。6つのショートストーリーから構成され、究極の復讐と正義を語る。Ricardo Darín(The Secret in Their Eyes、Chinese Take-Out、Nine Queens)を筆頭に豪華キャストが好演。アカデミー賞外国語部門にノミネート。3月6日よりCineplex系で上映予定。
[文・天野雀]