ロイヤル・ウィニペグ・バレエ ソリスト三野 洋祐さんインタビュー

三野洋祐さん

 4月7日〜9日の3日間、ロイヤル・ウィニペグ・バレエによる「Going Home Star – Truth and Reconciliation」の公演がクイーンエリザベス劇場にて行われる。先住民の人々が家族から引き離され寄宿学校(Residential School)に入りそこで様々な辛い経験をしたという歴史をインスピレーションとして製作がされた。この作品には日本出身のバレエダンサー・三野 洋祐さんがチャーリーという寄宿学校の生徒役として出演している。

三野洋祐さん

三野洋祐さん

−バレエを始めたのは何歳の時、どんなきっかけからでしたか?                      
      
  8,9歳くらいの時に母親にビックリマンチョコ 10個とドラえもんの漫画をを2冊買ってやるからバレエのレッスン受けてみないかと言われて即答でやると言いました。おそらくバレエというものを知らずにやるといったと思います。
 
−そこからプロのダンサーになりたいと思い始めたのはいつ頃だったのでしょうか?

 プロのダンサーになりたいと思ったのはいつか覚えていませんが10代の時に初めて参加したバレエコンクールで同年代の男性ダンサーたちがたくさんいてやる気をだしたのを憶えています!
 
−1998年にロイヤル・ウィニペグ・バレエ・スクールのプロ養成コースに入られましたが、そのきっかけは?どうしてカナダ、RWBに決められたのでしょうか? 

 ウィニペグのバレエ学校のサマースクールの広告を日本のダンスマガジンで偶然見かけてオーディションを受けたところ運良く合格しました。同時期にイギリスにある学校にも合格して実際に短期間行ってみたのですが、当時の寮の食事が口に合わなかったのでカナダにしました。
 

−カナダでのバレエ生活を始めた頃はどのような日々でしたか?
 

 高校を日本で卒業してからカナダに来たので朝の8時半から夕方の5時、遅い時は夜8時まで踊る時もありました。日本では週4、5日学校の後に一時間半踊っていただけなので、最初の数週間は体力的、精神的にしんどかったです。カナダに来た当時は英語がまったく話せなかったので寮の食堂にも行かずにショッパーズでチョコレートとポテトチップスをたくさん買って来て自分の部屋で食べていました。
 
−ここ最近は振付家として作品の発表もされていますが、もともと独自の作品作りにも興味があったのでしょうか?創作の過程はどのように進められますか?
 
 興味が出てきたのは7、8年前くらいからです。初めて振り付けをさせてもらった時は純粋に興味本位でできるかやってみたかったという理由から始めました。 

 創作過程は時には自分の踊りたい曲をかけて即興で抽象的に動きを作ったりします。後はテレビや映画でみたものや、普段感じることをテーマにして作ることもあります。 バレエ団のリハーサル中に横で暇そうにしているダンサーを捕まえて想像している動きが可能か試させてもらったりします。   
 
−日本ではカナダで先住民の人たちが家族から引き離され寄宿学校(Residential School)に入れられ、辛い生活を送り、その傷跡が現在の社会にも残っているということはほとんど知られていないと思います。今回作品を演じるにあたって、こうした歴史について学んだりはされたのでしょうか?
 
 この作品に取り組み始めた時に実際に寄宿学校に行っていた方達や、その家族の方達に会って話を聞かせていただきました。あまりの残酷な事実に、言葉を失いました。その他にも映画やドキュメンタリー、書籍を読んだりしました。僕達には想像を絶する出来事ですので、できる限りの情報を得た上で取り組みました。
 
−作品のリハーサルや公演を通じて印象に残っている出来事やエピソードがあれば教えて頂けますか?
 
 本番数日前にある衣装付きの通し稽古を見にきてくれた方が、僕に近づいてきて「あなたを見ていてまるで自分を見ているようだった。この役を踊ってくれてありがとう」と言ってくれました。後に聞いた話なのですが、僕の着ている衣装のデザインはその方が当時着ていた服を振付家とデザイナーの方が読んでいた書籍の中の写真を元に偶然に選んだものだったんです。
  
−ダンサー、振付家としての今後の展望をお聞かせください。
 
 新しい発見をする度に踊り続けたいという気持ちが出てきます。どのくらい踊れるのかはわかりませんが踊れることを楽しめられる限り踊れたらなあと思います。振付に関してはウィニペグバレエスクールの卒業生に毎年振付をさせていただいています。キャリアとして成り立つほどの才能が僕にあるかはわかりませんが、今のところ振り付けに関する全ての過程を毎回違った方法でアプローチしています。自分に合った方法を模索中です!
 
−最後に読者の皆様にメッセージをお願いします。
 
 今回の作品は、バレエファンの方だけではなく色々な人に是非みていただきたいです。カナダで長年踊らせていただいているものとして、今まで知らなかったカナダの歴史を踊りを通して皆さんに知っていただけたらなあと思います。

Going Home Star – Truth and Reconciliation from Royal Winnipeg Ballet on Vimeo.

Going Home Star
Truth and Reconciliation
4月7日〜9日
クイーンエリザベス劇場
チケット:ticketmaster.ca
詳細:rwb.org