フィクションが描くポスト3・11『Sharing』

東北大震災をテーマとした作品『あれから』の続編として製作された『Sharing』。この作品は異なる二つのバージョンがあり、バンクーバー国際映画祭では第一バージョンが、釜山国際映画祭では第二バージョンが上映された。映画は文部科学省「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」の助成を受け、篠崎誠監督が勤務している立教大学心理芸術人文学研究所の研究プロジェクトとして製作された作品。2011年3月11日に起こった東北大震災後のトラウマを社会心理学的な視点から描いている。

作品では、東北大震災の映像は直接出ては来ないが、主人公やその他の登場人物の会話の中で地震や津波の描写があり、テレビやその他のメディアから我々の頭の中に焼き付けられている震災の風景を思い出さずにはいられなかった。

映画の冒頭で、学生が自分は被災地に親戚や知人がいるわけでもないが、震災を体験した気がする、というシーンがある。体験した、とまではいかなくても、今回の震災に対して「他人事ではない」と思っている人、それを行動に移し活動を行っている人々は多い。現に、ここバンクーバーからも被災地に対する募金活動や、支援活動は今でも続いている。メディアはセンセーショナルでなくなると報道をやめてしまうが、震災の復興やその他の問題の解決はまだ終わったわけではなく、今回この映画がそういったことを改めて思い出させてくれた。

日本でのプレミア準備も進んでいるようだ。第二バージョンも是非見て見たい。