編集後記 2022年10月

KAO (a.k.a. SleeplessKao)

9月29日から10月9日まで国際映画祭がバンクーバーで行われました。

私もThe Bulletin Magazinの編集としてメデ ィアパスをもらい、日本の映画と外国の映画を何本か楽しみました。映画祭に出品される映画はハリウッド映画のように娯楽 性はなく、社会風刺的な要素が多く含まれている作品が多いので鑑賞した後にう~んと唸ってしまうようなものが多いです。 「PLAN 75」という日本映画は、劇場が満席で座れない人も出ていました。隣に座った若いカナダ人の男性は映画が大好きな様 子で”レビューがすごく良くてポピュラーな映画だと友人から言われて観に来たんだ”と私に話しかけてきました。カンヌ国際映画祭 で受賞したせいもあるのでしょうか劇場内に日本の方らしい人たちはあまり見受けられず、カナダの人が多かった気がします。

75歳以上が自らの生死を選択できる「プラン75」。生きるという究極のテーマを 全世代に問いかける作品で、観終わった後は劇場が静まるほど考 えさせられました。隣の男性も”ヘビーだったね”と一言。

『かもめ食堂』「彼らが本気で編むときは、」で有名な荻上直子監督の作品、『川っぺりムコリッタ』は松山ケンイチ主演、ムロツヨシさんも出ていて 面白そうです。ームコリッタ(牟呼栗多)とは、仏教における時間の単位のひとつで、1日(24時間)の1/30、48分を意味する言葉です。

「なんで生まれてきちゃったんだろう」

高校生の時に母親に捨てられ、知り合いの家や建設現場を転々とし、詐欺で入った刑務所で30歳を迎えた山田。 ずっと一人きりだった青年は、川沿いの古いアパートで、へんてこな仲間たちに出会う。 友達でも家族でもない、でも、孤独ではない。 “ひとり”が当たり前になった時代に、静かに寄り添って生き抜く人々の物語。内容はディープでも所々笑わせてくれ VIFF Q&A
『Motherhood 母性』の廣木 隆一 て観終わった時にほっこりさせられる。面白さの度合いはクリエイターのセンスに大きく依存する気がします。 監督と原作者の湊かなえさん、通訳 映画祭は特に映画大好き人が来るので、友達と出かけても一人で行っても、良い作品でも駄作でも誰かと共 のKIMIさん
感できるのが面白いですね。

そしてVIFFも推している廣木 隆一監督の”Motherhood(” 母性)原作者は湊かなえさん。前回映画祭での『こ こは退屈迎えに来て』もとても楽しめたので今回も楽しみにしていました。期待は裏切らず、本当に面白かった です。

映画祭では上映後にQ&Aも設けられ、Kimiさんの素晴らしい通訳と湊かなえさんの明るい応答で和気藹々と したとても楽しい会で終わりました。その後もお二人は劇場のロビーに出てきてたくさんのメディアとファン の方達に囲まれていて人気の高さを見せていました。

余談なのですが、映画が終わりQ&Aの前にトイレに行っておかなければと、エンドロールが終わる前に席 を立った私。ぶつかりながらまだ席についてる横の人たちを押し分け、黒い服を着た紳士は席を立って私を 通路に出してくれたのですが…なんとそれが廣木監督と湊かなえさんだったことに気づいたのはトイレか ら戻って自分の席の横を見た時でした。しっかりとVIPと張り紙がしてありました。(汗笑)ちゃんちゃん。

まぁこんなこともまた映画祭ならではですね(照笑)。『Motherhood 母性』ぜひ観てほしい作品です!

[文:Sleepless Kao

Kazuho Yamamoto

先日、日本のホラー映画『リング』を鑑賞しました。1998年に公開された当時に観たと思っ たのですが、ほとんど記憶になかったので2回目でも新鮮に感じました。そして、やっぱり 怖かった!

【ネタバレあり】怖いホラー映画を見た後は怖さが現実にも残って、夜眠れるか不安にな りますよね。映画が終わった後、まず思ったのは自分の家にテレビがなくてよかったとい うことです。うちにテレビはないので貞子は出て来られない(笑)映画の中で貞子のビデオ を見た人が写真を撮ると顔が歪んで写るという現象が起こったのですが、一緒に見た知 人(ホラー映画苦手さん)に冗談でセルフィーする?と言ったらNO!と言われました。

これからハロウィンが近づいてきて、ホラー映画を鑑賞する習慣のある読者の方もいらっしゃると思います。今年のハロウィンは、J-horrorをピック してみてはいかがでしょうか?