編集後記 2019年4月

KAO (a.k.a. SleeplessKao)

 諸事情により日本に一時帰国しています。元号が『平成』から『令和』に変わる瞬間を日本で体験。なんでも新しい元号は日本の古典から引用したそうでまだ賛否両論。

都心アルタ前では大画面を皆見上げ、スクリーンの中の菅義偉官房長官が元号を記した墨書を掲げたのを人々はスマホで 撮っています。 駅前では号外が出て人々が殺到してもみくちゃになっていたり、コカコーラは『令和』のラベルがついたボトルを人々に配っていたりと大騒ぎです。

 ヴィジュアル系エアーバンドのゴールデンボンバーはレコーディングからCDカバー撮影まで1時間で済ませ、『令和』と言う新曲を新元号発表の数時間後に発表。ミュージックビデオもできている。アメージング(驚)

テレビをつけると連日連夜新元号の話題・解説です。驚くのはそれに付随したプロダクトが街にあふれるスピードの速さで、ケーキにまで『令和』の元号が付いています(笑)

 元号改訂に際して特集していたのが美智子さまのファッションです。ダイアナ妃も受賞した世界のベストドレッサーに3度も選ばれたそうで、「美智子さまファッション」は世界的に賞賛され、ご成婚の時には美智子さまのファッションを真似た女性が日本中に溢れ、キャバレー・クラブではテニスウエアを着た美智子さまを真似た女性店員がテニスラケットでお客さんから集金するという場面が映し出されている(笑)

 このようなテレビ番組は日本にいないと見れないと思うので、この記念すべき瞬間に日本にいれて良かったです(笑)

 それにしてもお役所はすべての書類の元号を書き換えなければならないのだろうから今以上に紙の無駄遣いだなっと変なところが気になってしまった私です(笑汗)

Kazuho Yamamoto

 この間、CBCラジオでカナダならではの中華料理についてのエピソードを聞きました。番組では、カナダならではの中華料理に興味を持ったGlobe and MailジャーナリストのAnn Huiさんがカナダを旅し、カナダの中華料理の歴史とその発展について執筆した本『Chop Suey Nation』についての話でした。

 およそ1960年代まで、中国からの移民は法・医療・薬剤等の専門職に就くことが許されておらず、中華レストランの経営、またはそこで働くことは生計を立てていくための一つの手段だったそうです。もちろん、もともと料理人としての経験があるわけではなく、中華料理に必要な材料を手に入れることができないという環境下ということもあり、そこからカナダならではの中

華料理が誕生しました。故郷の味を限られた環境で再現する、一体どんな料理が生まれたか。番組で取り上げられた料理の数々、とてもユニークでした。例えば、ニューファンドランドでchow meinと言うと、細いたまご麺の焼きそばが出てくる代わりに、細く切られたキャベツの炒め物が出てくるそうです。カナダの他の地域で中華食材が手に入り始めても、海に囲まれているニューファンドランドに食材が届くのは時間がかかったとHuiさん。また、ケベックではフライド・マカロニという一品があり、肉、野菜とマカロニが醤油で味付けされた料理が中華料理としてあるようです。

 この話を聞いていて、日系カナダ人でもこうした歴史があることを思い出しました。2016年の『The Bulletin』でチャック・田坂さんがカンバーランドのchow meinやその他の日系カナダ人ならではの日本食について記事を寄稿されました。以下記事の抜粋です。

“In Greenwood, former Cumberland residents showed the other Japanese Canadians from the coast how to make this chow mein. (省略)This chow mein looked more like the Chinese chow mein you see in the restaurant but the taste was so different that it was indeed a Nikkei creation. “

 今でもバンクーバー日本語学校・日系人会館やバンクーバー仏教会のバザーなどに行くとchow meinが販売されているのを目にしますよね。日本での生活経験のある日本人からすると、あれは日本食か?と思ったりすることもあるかもしれません。しかし、カナダで発達した中華料理と同様、日系カナダ人コミュニティーの中でも限られた食材で故郷の味を再現する為にこうしたメニューが生まれました。その料理が日系カナダ人、第二次世界大戦中の強制収容の歴史、戦後の日系カナダ人の歴史を語り継いでいて、日系カナダ人のアイデンティティーの一部になっていると言う背景を理解した上で捉える必要があると思います。ラジオの中でも料理をどのように「本物」「偽物」と評価するかという話があり、その中でHuiさんが

「人々が移動し、共有する中で進化し、その環境に適応して生まれるのが料理です。そこから生まれた料理は素晴らしい歴史・ストーリーを持っていると思う」と話していました。

私が聞いた番組はオンラインで聞くことができます。もし興味のある方はタイトル「These dishes from Chinese restaurants are uniquely Canadian. Is your favourite on the list?」で検索、あるいはcbc.ca/radio/thecurrentから過去のエピソードを探してみてくださいね。