編集後記 2018年11月

KAO (a.k.a. SleeplessKao)

ぱ~っりぱりぱり

 おせんべを食べているわけではなく花の都パリに行ってきました。はい、The Bulletinとは全く関係ありません。初ヨーロッパをひとりでぶらぶらして来ました。

 シャルル・ド・ゴール空港からTaxiでパリ市街地まで行こうと思ってたのですが、バンクーバーの友人に「電車で頑張って行け」と言われたのでトライ。リサーチも全くしないで行ってみたけどなんとかなるものですね。

 パリに着くとお腹が減ったので、「ペーパーボーイ」とカタカナで書いてあるおしゃれカフェに入りました。なのに働いてるのはフランス人。メニューがよくわからないので手っ取り早くブランチを注文したら、まずバゲットがナテラとピーナツペーストと一緒にバスケットで出てきた後にフレッシュジュースとカフェラテが一緒に出て来た。そしてフレッシュフルーツにグラノラ・グリークヨーグルト、全て美味しいのだけれどメインのエッグベネディクトが全然出てこない…出てきた頃にはお腹がいっぱいで「Take out」しました。

 この「Take out」が曲者で、日本でも『ティクアウト』はフツーにカフェで使われているのにパリでは通じない。(こんな簡単な英語が通じないの!?)とあたふたしながら英語のあまりうまくないウエイターと押し問答をしていると、 “あぁ!『Take away』のこと?”ときた。ブリティッシュイングリッシュの強いヨーロッパ圏内では『Take away』と言うらしい。このブランチは26ユーロだったのでランチに40ドル近く使ってしまったことに…ユーロ怖し(笑)

 お腹がいっぱいになったところで街を散策していると、(あれ?ここさっきも通ったような?)という錯覚に陥ります。お城のような古い建物の街並みがどこも一緒のように見える。迷子になってぶらぶらするのも好きな私は(携帯にGPSがあるので不安になることもないですしね)ウインドウにこけしが置いてあるスタイリッシュなお店が気になって入ってみました。

 お店のマネージャーさんに自分が絵を描いていることを話して、iPhoneで作品を見せるとなんとその場でお店に置いてもらえることになった。スーツケースに入っていたグリーティングカードを全部置いてきましたよ(嬉)

 パリについて2時間後には作品をお店に置いてもらえるという快挙に見舞われましたが、その後はどこでも門前払いでした。それはそうですよね、芸術家がご万といるパリですもの。

 パリジェンヌを気取りたかったのでアパルトマンを借りてフツーに生活してみました。

franprixというグロサリーストアで買い物をして朝と夜はなるべく自炊なのです。牛乳ボトルのデザインがとても可愛いい。そして濃厚。チーズを始め、スィーツや乳製品が美味しいのは牛乳がまろやかで美味しいからなのだな。

アパルトマン備え付けの電子レンジがオーブンレンジでちょっと複雑で説明もない上にフランス語も英語も書かれておらず、わかりにくいアイコンなのです。さぁどれがスタートボタンでしょう?答えは小さいひし形の絵が描かれた隣の小さなボタンでした。わかった時には「わかるか!」とひとりツッコミしましたよ(笑)

 コーヒーを淹れようと思ったらなんとエスプレッソマシーンなど、ホテルに備え付けのスタンダードだと思ってたものと逸する。(これはパリのスタンダードなのか!?)

 セーヌ川クルーズやら自転車ツアーやらに参加していっぺんにお城を堪能したので、もうどれがなんの建物かわからぬ…笑 ガイドの説明も脳みそを右から左に流れ出ております。

 バスは時間通りに来ないし、路線は勝手に変えるしで20年前のバンクーバーのようです。バスの運転手が話しかけてくれるんだけど、フランス語で全くわからぬ…どうやら“どこから来たの?”って聞いてるらしい。とりあえずジャポネーゼと答えてみる。

 バス停で待ってるとおじさんが“あと何分で来るよ”とこまめに教えてくれる。フランス語で何言ってるのかわかりませんが(笑)なんだろう、言葉が通じなくてもガンガン話しかけてくるのは大阪のノリと一緒なのかしら?

 ファッションウイーク中なのでグラン・パレの周りは一層艶やか。あちらこちらで撮影会がされていました。当然ですがバンクーバーのファッションウイークとレベルが違います。パリコレモデルは脚がとにかく長い!

 どこをどう見てもおしゃれなオブジェしかないパリ!でもパリに住む人が言うには、“日本から来る日本人は 美しい街だと夢見て来たら、(結構ゴミが落ちてたり治安が悪いなどの理由で)失望して帰る人が多いのよ”だそう。

  浮浪者の多いガスタウンに住んでいるので、私には逆にパリが綺麗に見えましたよ(笑)

 バンクーバーに戻る日、電車で空港まで一本で楽勝、と高を括っていたら空港目前でまさかの電車が止まるという…復旧するのに3時間というアナウンスが(しかもフランス語のアナウンスだけ!)構内大パニック。私は英語ができるフランス人に声をかけられ別の電車に乗るも、これまた途中で止まりシャトルバスに乗り換えることに!

 時間ぎりぎりで空港に向かってたアメリカ女性は本気で焦ってFワードを連発。全てのエレベーターエスカレーターも動いていないので、大きなスーツケースを持った人たちは大変。(わたしは1ヶ月以内の旅行は小さいカバン一個で旅をします)なんかこういうのもパリっぽい~(ワクワク)

 どこでも困った場面になるとフランスの人がわ~って寄ってきて助けてくれました。

 フランス人の『不親切で無愛想』っていうイメージは払拭されて楽しいぶら旅でした。

Kazuho Yamamoto

 今月は引越しの月で、サンクスギビングの週末に約10年間住んでいたところから引越しをしました。スーツケース2個の荷物でカナダにやって来たはずが、荷造りの結果何十箱に膨れ上がったことが発覚(笑)荷造りをしながら断捨離したものの、長年溜め込んだ物の量に圧倒されました。荷解きをしながらさらにダウンサイズしています。

 今年の夏に知人がトロントへの引っ越し作業を終え、出発前にお茶したのですが、その際に「少しずつ荷造りをするように、最後にやればいいやでは大変だからね」とアドバイスをもらっていました。この助言、受けておいてよかった

 と本当に思います。平日は毎日OL残業生活で帰ってきたらバタンキューな生活でしたが、ヘトヘトでも力を振り絞って

    荷造りを進めていなかったらどうなっていたことか!引っ越し当日も泣きながら箱詰め作業していたと思います。

 新しいお家に荷物と到着。荷物も解いて新しい生活の始まり!と思いきや目に見えるところだけが引っ越しではありません。今度は住所の変更が待っていました。BCID/DLはオンラインで更新し、銀行は電話で新しい住所に変更。職場にも連絡し、オンラインでカナダポストのメール転送の申し込み。ダイレクトメールが転送されてきたら住所変更の連絡をメールで、あるいはアカウントにログインして変更等。何に住所を登録していて、どこからDMが届いているか全てを把握できていないのでこの作業は少し時間がかかりそうです(泣)

 所変われば品変わる、今までお決まりだった身動きも新しく適応させる必要が出ました。例えば、台所で料理中の体の流れ。昔の家はシンクからコンロがC型で繋がっていたので野菜を洗って、切って、すぐ横のフライパンに入れて…と言う流れでした。しかし、新しい家ではシンクは北側、コンロは南側と言う造りで繋がっていません。野菜を切ったらそれを持ってコンロ側へ移動。体の向いている方向を変え、食材を移動させる必要が出ました。お風呂、トイレ、ゴミの出し方、洗濯等リストは続きます。だから何なんだ?と言われてしまうと困ってしまうのですが、これまで当たり前と思って動いていたのが、環境の変化によってカラダの感覚の変化に気づかされてその違和感が面白かったりするんです。

 コンピューター、スマホの画面に映っている物事が中心で、それを操っているカラダは無視されがちな今日この頃です。これを書いている際に学生時代に読んだ斎藤孝さんの本『身体感覚を取り戻すー腰・ハラ文化の再生』(2000年・NHKブックス)を思い出しました。身体感覚が喪失されている今日、こうした日常の小さな変化から自身の体に対する意識を高めていくことができるかもしれません。