働きing:Yuko Suzuki-Rowe

鈴木ロウ 由布子さん
Yuko Suzuki-Roweさん

Yuko Suzuki-Roweさん

−こちらに来たのが2012年とお伺いしましたが、どのようなきっかけでカナダに移民されたのでしょうか?

 3・11(東日本大震災)がきっかけでした。夫がPEIの出身で、お互い日本での生活に不安を感じたためカナダに家族で移住することにしました。バンクーバーに来たのは日本から近い西海岸という地理的な理由でした。

 もともと日本ではマーケティングやマーケット・リサーチビジネスを行っていました。2009年に元同僚と共に東京でマーケット・リサーチの会社を立ち上げ、こちらに来てからもその仕事を続けています。

−ヨガのインストラクターと、コーチングのコーチとしての活動準備をされているとのことですが。

  ただ今、ヨガのインストラクターと、NLPコーチとして活動を始めるために準備を進めています。

 日本にいた当時からヨガをずっとやっていて、今年でヨガ歴13年になります。去年の11月に日本に一時帰国した際にヨガのワークショップに参加し、そこでインドの伝統的なヨガを教える先生と出会いました。その先生が「日本に来たのは誤ったヨガが広がっているからです。エクササイズ的なヨガが一人歩きしているが、ヨガは本来、古来より伝えられてきた永遠の心理を悟る為の「道」であって、哲学や呼吸法、瞑想を含めた全てがヨガである」というお話をされて、それがきっかけで今まで以上にヨガに対する関心が高まりました。

 そのインドの伝統的なヨガを体系化してインド以外の場所でも学べるようにしたのが「シバナンダヨガ」です。日本でも数年前にヨガインストラクターの資格を取りましたが、バンクーバーに戻ってからシバナンダヨガのティーチャーズトレーニングを受け、インストラクターとしての認定を受けました。

 コーチングはアメリカのNLP協会が公認しているNLPコーチング(Neuro-Linguistic Programming:神経言語プログラミング)の資格を日本で取得しました。このNLPは卓越したセラピストと呼ばれた人たちの療法の仕方を研究し、それを体系化したものです。脳の機能や構造に働きかけたり、心理学な要素があるので、目標達成や自己成長にも大きな効果をもたらすとされ、トップアスリートやビジネス界のトップレベル層が学んでいることでも知られています。このNLPの手法を取り入れたコーチングでは、表面的な変化だけでなく、無意識レベルでの変化が期待できるとされています。

−ヨガとコーチング、全く別物のように思えますが…

 そうですね。別物に見えるかもしれませんが、まず、どちらも人の暮らしを向上させる、という目的の点で共通しています。そして、私が学んだコーチングでは、積極的に瞑想などのマインドフルネスの手法を取り入れているので、実は結構似ている部分もあるんです。

 実際、欧米のエグゼクティブの間では、現在マインドフルネス・ブームと言われていて、ビジネスマンが積極的にヨガや瞑想を取り入れていると聞いています。ブームの火付け役とも言われるのはスティーブジョブズで、自伝の中で彼が瞑想を日常的にしていたことが明らかになりましたね。

Yuko Suzuki-Roweさん

Yuko Suzuki-Roweさん

−私自身もヨガに行ったりするのですが、シバナンダヨガというのは初めて聞きました。どのようなヨガなんでしょうか?

 シバナンダヨガは元々医師であったスワミ・シバナンダが、伝統的な古代ヨガを解釈し直して確率させたもので、世界中にセンターがあります。シバナンダヨガは、プラナヤマ(呼吸法)・太陽礼拝・アーサナ(ポーズ)・瞑想で構成されていて、ポーズ数は少な目ですが、ポーズをホールドする時間が長く、ポーズ間でリラックスが入るのが特徴です。

 毎日継続してBody、Mind、Soulを鍛えていくことによって、幸せや平和を外に求めるのではなく、自分の内側に見つけられるようにすることが目的です。

 究極の目的はそこなんですが、その過程でも様々な効果が期待できます。腰痛や肩こりの改善、代謝アップ、内蔵やホルモンを刺激して内蔵機能を整えたり、しなやかな筋肉がついてメリハリボディになったり、美肌や若返り、集中力や直感力アップ等。。。

 私自身も、シバナンダヨガをするようになってから更に筋肉がつきましたし、直感力がついてきたり、哲学的な学びの影響も大きいです。できるだけ物事に執着しないこと、過去・将来のことで不安になるのではなく、今に集中して今を生きること、自然に身を委ねる等の考え方は、特に私のライフスタイルに影響を与えています。私にとって、まさにヨガがライフコーチのような存在になりました。

−また、コーチングという言葉は聞いたことがありますが、実際にはどのようなものなのでしょうか? 

 コーチングはアメリカで始まったもので、目標に焦点を当てて、その達成に向けて誘導していく人のことをコーチと呼びます。コーチングというとビジネス界というイメージがありますが、スポーツ界でも幅広く使われていますし、日常生活でも応用できるんです。

 日々のもやもやを解消したいだとか、家族関係や人間関係を改善したい、決断ができない、優先順位が付けられない、何かを習慣づけしたいといったことにもコーチングは使えますし、子供に対しても使えます。

 ただ、コーチングはカウンセリングと異なり、基本的にアドバイスは行いません。「答えは必ずその人の中にある」という前提の元、その人が既に持っている資質や資源から、質問や対話によって相手の目標達成のための行動や解決法を導き出します。クライアントの自発的な判断や行動を促していくので、モチベーションも自然に高くなります。また、深層心理に働きかけるNLPの手法も取り入れると、自己変革を効果的に起こす事ができると言われています。

−情報過多の時代で、「やりたい事」を見つけるのが逆に難しい今日この頃です。どのようにして目標設定をしていけばいいでしょうか?

 新しいことを始める際、特に始めたい事が大きなことだったり、自分が慣れ親しんだ分野でなかったりすると、なかなかはじめの一歩が踏み出せなかったりしますよね。そう言う場合、その大きな目標にたどり着くために「現時点で何ができるか」、「最初の一歩を踏み出すために何ができるか」、という視点でまずは目標設定すると良いと思います。

 「自分が本当にやりたい事が何なのかを見つけたい」という場合は、自分が子供の頃に好きだったことや夢中だったことを振り返ってみるとそこにヒントが隠されていたり、今現在自分がやっていることや自分の興味のある分野を深めていくと、そこから自然に広がっていくこともあります。 或は、私の場合は3・11でしたが、何かのキッカケで自分の価値観等が大きく変わる事があると思いますが、その気持ちを大切に、焦らずじっくり自分と向き合っていくと、自分が本当は何を求めているのかが自然に見え、道が切り開けていくと思います。

 もちろん、ヨガを深めたり、コーチングを受ける事も大変効果的です! 笑

Website: yukorowe.wix.com/coach

Email: yuko@market-tailor.com

[文・山本一穂]