今回はカルガリーのダウンタウンに来ています。ここでCHANELで働く美和•ホラーさんにインタビューしてみました。
—何時、カナダに来ましたか?
1994年の5月にワーホリでバンフに行き、ストーンズジュエリーというショップでセールスクラークをしていました。当時は日本の観光客で賑わい、メープルリーフの金のネックレスやコインを求める人が多かったですね。それからツアーガイドでワークビザを出してもらいカナダで生活していくことを考え始めました。
—どのようにMakeup の仕事に移行していったのでしょうか?
ツアーガイドの仕事をしている時期にこれは続けていく仕事ではないなと実感する中、何か手に職をつけたいなと思ったんです。模索している時に偶然バンクーバー新報の記事でBlanche Macdonaldでファッションを勉強している人というのがあり、(そういうコースがあるんだ〜)と、資料を取り寄せたのです。
ファッションにも興味がありましたが、とにかく授業料が高くて…(笑)メークアップコースを選択しました。
—Blanche Macdonaldではどんなことを学んだのでしょうか?
基本的なMakeupの技術からファッションショーのショーモデル用のメークやステージ、シアター、雑誌やTVの為のメークアップなどを勉強しました。
初めはファッション系の仕事に興味があったのですが、とにかくFX の授業が楽しくて!どんどん映画の仕事に就きたいと思うようになりました。
働かないと生活はしていけないので、Blanche Macdonaldを出てからはバンクーバーのBody Shopでワークを出してもらい、その後The Bayで美容部員としてCHANELに入って働き始めたのですが、Makeup Artistになる夢があったので、フリーランスでバンフにあるワタベウエディングというところでメークとヘアを担当する仕事をゲットし、同時期にカルガリーにあるモデルエージェンシーでヘッドショットや広告写真の為のMakeup Artistとして働く機会も得たのでワーホリで慣れ親しんだカルガリーに戻りました。
実践で働くうちにMakeup Artistとしてやっていきたいという夢が募り、ハリウッドノースとも言われるバンクーバーに拠点を移しました。I.A.T.S.E.(映画組合)でメンバーシップを取り働き出したのですが、食べていくには本当に大変で(笑)生活の為にSearsのDiorに入社しました。マネージャー補佐の仕事に就きそこでセールスのノウハウを学びました。そうこうしていくうちにビジネス思考に移行していき、カルガリーのChristian Diorでマネージャーのポジションを得たのでまたカルガリーに戻ってきちゃいました。(笑)
—バンクーバーとカルガリーを行ったり来たりの人生ですね。
本当にそうですよね〜。(笑)
カルガリー市内のDior店舗を廻ってMakeup Artist として活躍した時期もあるんですよ。私を目当てにお客様が予約を取り、メークを施します。やりがいがありましたが、イベントがある時などは1日で$3000の売り上げを上げなければいけない為プレッシャーもありました。
結婚、妊娠を経て家で何かできないかを考え、エステティシャンとネールのライセンスを取得したりもしました。家にStudioも作ったのですが、やはりリテール(物を売る仕事)の方が向いていると思いCHANEL に戻りました。肌を触る仕事に携わることでお客様の気持ちがわかり、お客様も自分を信じてくれるようになるんです。そういうやり取りで不思議とエネルギーを頂いたりするんです。
—カナダでメークの仕事に就くにはどうしたらいいでしょうか?
学校に行くのも手ですが、逆に美容部員から始まって実践で学んで映画業界に入る人もいます。
あとこの仕事には英語がとても重要だと思います。私はメークの仕事というのは表面だけを綺麗にするだけでなく、その人となりを知らなければ綺麗にすることはできないと考えます。なのでコミュニケーションスキルは必須ですね。
—将来の展望はお持ちですか?
若い時とは違って野心はそれほどなくなりましたね。CHANELカウンターにいらっしゃるお客様はなぜか皆さん、メークをしながら私に色々な相談をするのです。
CHANELのリップ1本を 特別なことのように選んでいかれるお客様のお手伝いをしてお礼な
ど言われたらこれとない喜びです。
心も顔も綺麗になって晴れやかな顔をして帰っていただけると私自身にもリターンが大きいです。
私ってカウンセラー?(笑)と思うこと多々有ります。今はこれが私の天職かなって …これからもメークを通して人の心をケアできたらと思っています。
またバンクーバーに戻ることもあるかもしれませんね(笑)
取材をしている間、終始ニコニコと笑顔を絶やさない美和さん。人をハッピーにするお手伝いが本当に気に入っているようでした。カルガリーのThe Bayに来た際には是非カウンターを訪ねてみては。
[写真・文:Sleepless Kao]