7月 会長からのメッセージ

 「ジャップ」という表現に、私は驚き傷つけられています。BC州政府が、日本のサッカーチームに言及する際にこの人種差別用語を用いていました。この「J」ワード、すなわちJapを用いているのは、BC州政府だけではありません。Japan やJapanese の略称を使う際に、この3文字を用いる人達がいるのです。それは顔に平手打ちを受けるようなもので、日系カナダ人が受けた人種差別を痛烈に思い起こさせます。

 私達のBC州の歴史の例として、 1907年の反アジア人暴動での「ジャップを殺せ」という怒号、そして1940年代には、「ジャップを締め出せ」があります。人種的中傷や人種差別は私たちの社会から姿を消していません。多くの人達が少なくとも公の場では人種差別用語を使ってはならないことを知っています。「J」ワードを略称として用いている大抵の人が、人種差別の表現として用いてないことはわかっていますが、でもそれは差別用語なのです。私達は、 人種差別について声を上げ続けなければいけないし、これについて沈黙しているわけにはいきません。

 私はツィッター上でBC州政府にコメントを送りました。BC州政府はツィッターでハッシュタグを用い差別用語を使い、#を用いてハイライトしたため、他の人達がそれをキーワードとして使うことができ、検索もできるのです。私は略称として「JPN」を使うよう助言しました。 今後「JPN」を用いるという返事が来て感心しました。修正してくれたことは良しとして、なぜ最初にあの表現を使ったのかと考えてしまいます。

 ここ2、3年の間に、多くの人達から、今後取り組むべき大きな課題に関連したコメントを聞いています。若い世代の日系カナダ人達は、強制収容については教科書に書かれていた短い段落しか知らないと言っています。高齢の日系カナダ人達は、以前は学校で生徒たちに第二次世界大戦時の収容経験について話をするよう頼まれましたが、今ではもう頼まれないそうです。日系カナダ人コミュニテイの人びとは、カナダ政府が日本に先祖を持つカナダ人を強制的に立ち退かせたことについて知らない人達が増えていると言っています。

 寄宿学校制度に関する「真実と和解委員会」の報告書へのBC州政府の反応は、良いニュースでした。幼稚園から12年生までの学習課程に、先住民の歴史と文化を加えるというものです。BC州政府は、学習課程はすでに修正が行われ、「中国人の人頭税など過去における政府の差別的政策」も盛り込んだと発表しました。しかし、他にどういったものが含まれ、どこまで網羅されているか明確ではありません。

 全 カナダ日系人協会(NAJC)もグレーター・バンクーバー JCCA も連絡を受けていないため、日系カナダ人の話や声、そして助言を知らせることができませんでした。今月末までに学習課程の草案を見たいと思いますし、その後でも助言もできると思います。来月の『Bulletin/げっぽう』誌面で結果をお伝えします。

 もしも私達が自分たちの歴史を理解すれば、人種差別行為や人種的中傷など私達の過去の過ちの繰り返しに感化されにくくなるでしょう。

 GVJCCA 理事会を代表し、第3回隣組・GVJCCA ゴルフ大会でゴルフをプレーした方々、企画に参加された方達、ボランティアの皆さま、寄付をしてくださった方達にお礼申し上げます。天候に恵まれ、美味しいお料理で、私は新旧の友人達と会えてとても嬉しかったです。このイベントの企画にあたりリーダーシップを発揮してくださった隣組専務理事のディビッド・イワアサさんに、格別なお礼を申し上げます。今回参加できなかった方々も、まだこれから隣組とGVJCCAに貢献することができます。

 次回の大きな イベントは、8月1〜2日のパウエル祭です。毎年恒例の GVJCCA ワイルドサーモン BBQ とおむすびのテーブルにお越しください。今月号の『Bulletin/げっぽう』誌の広告をご覧ください。『Bulletin/げっぽう』誌と GVJCCA へのご支援をお願いします。また、 GVJCCA のコミュニティ・ブースのテーブルにもお立ち寄りになり、私達の過去と現在の取り組みの展示をご覧ください。私は両テーブルを手伝っています。また、8月1日(土)のthe Labour Landscapes: A Storytelling Walkでお話しする予定です。パウエル祭をお楽しみください。楽しい夏をお過ごしください!

[文:ロレーン・及川 訳:齋藤 雅子]