7月 会長からのメッセージ

 アジア系カナダ人コミュニティは、バンクーバーのアジアの伝統を祝う月間イベント(Vancouver Asian Heritage Month event) の今年の成功を祝うため、去る6月11日に行われたexplorASIAN 20周年記念 の催しに参加しました。explorASIANを後援しているバンクーバー・アジア伝統月間協会(Vancouver Asian Heritage Month Society)は、日系カナダ人コミュニティを表彰するために、素晴らしい夕べを催したのです。私達のコミュニティから3人のリーダー、グレース・英子・トムソン(Grace Eiko Thomson)、そしてメアリー北川、トシ・北川(Mary&Tosh Kitagawa)が表彰されました。3人はGVJCCAの一員で、『The Bulletin – 月報』読者は彼らの名前をよく見かけているでしょう。グレースは、重要な展示、例えばLeveling the Playing Field: Legacy of Vancouver’s Asahi Baseball Teamの製作を監督していて、バンクーバー・アジア伝統月間協会の共同創立者です。メアリーとトシの働きにも感謝します。1942年に、強制的に退学させられたUBCの学生だった日系カナダ人は、ようやく学位を授与されました。これらは、二人の多くの業績のほんの一部にしかすぎないものです。

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 GVJCCAもコミュニティ建設賞(Community Builder Award)を受賞しました。私もグレーター・バンクーバーJCCAの代表としてこの表彰を受けたことを光栄に思います。

 その際のスピーチの中で私は、GVJCCAとは誰のことなのか、と質問を投げかけました。私は次の方々のことを指すと思います。役員の方々、人権委員会、若い世代の委員会、ボランティアの方々、メンバーの皆様、サポーターの皆様、そして共に力を合わせる多くの日系グループを含む、日系カナダ人コミュニティではないでしょうか。私たちは大きなひとつの家族なのです。

 さらに私は、非営利団体の役割、権限を説明することでこの質問に答えました。すなわち、コミュニティを作り出し、カナダに住む日本に民族的起源を持つ人々やその家族のために、社会的正義の主張をするのです。1952年に私たちの団体が創立され、1958年に日系カナダ人のコミュニティ、歴史や文化を取り扱う雑誌として『The Bulletin – 月報』が創刊されました。私達は、メトロバンクーバー地域の日系カナダ人の代表であり、当地の地域社会と強い繋がりを持っているカナダ各地の日系人の“心のふるさと”なのです。

 私たちを知るには、日系カナダ人の歴史も知る必要があります。ブリティッシュ・コロンビア州の日系カナダ人の全てが漁師というわけではない、ということを指摘しました。例えば、1800年代、私の母方の家族は日本から来ましたが、カンバーランド(Cumberland)の鉱業で仕事をしました。及川家の記録に記された1907年のバンクーバー暴動(Anti-Asian Riots)のストーリーをシェアしました。また2万2千人の日系カナダ人の強制移動と収容、そして家、商売、農場、土地、車両、漁船などの財産の没収のストーリーもシェアしました。このような不当な措置に加えて、日系カナダ人は、第二次世界大戦終結4年後の1949年4月1日までBC州西部沿岸へ戻ることが許可されず、また同年までBC州での投票を許されなかったのです。

 日系カナダ人の歴史は、BC州の歴史です。GVJCCAは、様々なフォーラム、各種ワークショップ、会議、ウォーキング・ツアーを企画しています。またどのように歴史的な不当措置が現在へと繋がっているのか、人々への理解を助けるための本『Honouring Our People: Breaking the Silence』を、人種差別的行為を繰り返させないという教訓を示すために最近、発行しました。私達のコミュニティは州政府と共に、私達のストーリーを教育に役立て保存するためのアイデアを集めて実行するよう期待しています。また皆様に参加していただけるよう、強制収容から75周年記念の機会を2017年に設けたいと思います。

 私達の仕事はまた、他のコミュニティとのつながりを持つことでもあります。というのも人種攻撃の対象は、我々のコミュニティに限られたものではないからです。アメリカ同時多発テロ事件、9.11以降、日系カナダ人たちは、自分たちがかつて敵性外国人だとレッテルを貼られたように、イスラム教徒たちが、不当にテロリストとして標的にされるのを目の当たりにし、衝撃を受けました。最近起こったフロリダ州オーランド(Orlando)での銃乱射事件も、イスラム教徒の標的は続き、私達はLGBTQ2を支持します。また先住民に対する、長く続く不当な扱いを、終わらせるために働きかけています。

 私は、GVJCCAの表彰を受けました。それは日系カナダ人コミュニティ、この国へやって来た祖先の代理人として、また強制移動を体験した2万2千人の日系カナダ人と、私達のより良い生活のために頑張り成功した、その生き残りの方々のための授与でした。先人たちは、私達の活動の支えとなっています。私達はこの活動を、日系カナダ人と全てのカナダ人のために続けていきます。なぜなら正当で包括的なコミュニティは、私達みんなのプラスになるからです。

 私達の活動は続きますが、一つの変化として、今年の夏にニューフェイスが加わります。さらにGVJCCA代表について、私はGVJCCA人権委員会の委員長として約2年間、委員会のメンバーとして約8年間在籍いたしました。このたづなを、人権に精通している元代表のジュディ・花沢(Judy Hanazawa) へ、引き継ぎたいと思います。ジュディには活動を引き受けて頂き、感謝いたします。私も委員会には出席し、人権ガイドの更新等を含めた活動を続けていきます。更新は我々のウェブサイトに掲載されます。

 日系プレースの私達のオフィスでは、ニューフェイスを迎え入れました。この夏、私達のために活躍してくれる、才気あふれる3人の学生達を迎え入れることを、嬉しく思います。ザビア・ブライアント(Xavier Bryant)はイベント・コーディネーターとして、エレノア・パンノ(Eleanor Panno)はコミュニケーション・アドミニストレイターとして、そしてネーサン・イェオ(Nathan Yeo)はアーカイブ・アシスタントとして仕事を始めています。彼らはすでに勤勉に働いていて、7月30、31日に催されるワイルドサーモン・バーベキューとムスビ(スパムスシ)のフードブース、また40周年パウエル祭りの私達のコミュニティ・ブースで、皆様とお目にかかることと思います。

 あるJCCAボランティアの方とお話しする機会があり、ワイルドサーモン・バーベキューは、1980年代に始めたとき、素晴らしいファンドレージングの活動として成功したと言っていました。彼女が言うには、「みんな、新鮮なグリルフィッシュを欲しがって、それ以来、まつりでは欠かせない存在になっているのよ。今はおじいちゃん、おばあちゃんが孫たちを連れてくるようになり、人気は受け継がれているわ。」どうかこのような日系カナダ人の伝統もお見逃がしなく!

(文:ロレーン及川  訳:古川英子)