歴史的な謝罪から1年、 バンクーバーにて日系カナダ人の全国集会
1942年に市議会で可決された、日系カナダ人を強制移動させるための人種差別的な法案に対してバンクーバー市が行った歴史的謝罪から約一年後、全日系人協会(NAJC)の年次総会がバンクーバーにて開催された。2014年9月19〜21日の週末にかけて、カナダ全土から代表者が集まった。
バンクーバー近郊の日系カナダ人コミュニティを代表する非営利団体、グレーターバンクーバー日系市民協会(GVJCCA)が年次総会の企画・運営を担った。「NAJCの年次総会を担当するのは初めてですが、カナダ全国から集った他の日系カナダ人団体の代表の方々とお会いし、考えや経験を共有することができて非常にうれしく思います。」とGVJCCA理事のデレック・岩中は語った。「この週末のイベントを成功させられたのは、役員やボランティアの皆様のおかげです。」
また、この週末には若い日系カナダ人が全国から日系カナダ人青年リーダー会議(JCYLC)のためにバンクーバーに集まった。年次総会と同時に青年リーダー会議が開催されたことにより、異なる世代の日系カナダ人が共に集い、経験やアイディアを共有することができた。『げっぽう』10月号に掲載されている会議のグラフィックレコーディングの結果は、日系カナダ人の歴史の重要性や、メンター制度による次世代への継承が求められているということを明白にした。JCYLCのグループの多くは会議が終わった後も議論を続け、その勢いは止まる様子がない。
年次総会ではNAJC会長ケン・ノマの任期終了に伴って、新会長が選出された。ノマ氏はバンクーバー市(COV)が2013年9月25日に行った謝罪にも立会い、バンクーバー市の謝罪文はGVJCCAの進言をそのまま取り入れて書かれたと述べた。「私たちのコミュニティを代表して、バンクーバー市議会の日系カナダ人強制収用における役割に対する謝罪を受け入れたことを、非常に光栄に思った。」とノマ氏は語った。「この謝罪を通して、謝罪や許しという行為が時間を越えたものだと明らかになった。」
NAJCの新会長ベブ・オオハシは、「この1年、力強いNEB(全国理事会)の皆さんと共に変革と能力アップを行うことを楽しみにしています。」と語った。年次総会において、常任理事の雇用が承認された。この新しい職務と同時に採用される全国アドミニストレーターのポジション設置により、NEBがメンバー組織の持つ数々の問題、会員数やボランティア数の成長、青年リーダーの関与など、に適切な政策を練ることができるようになると期待される。オオハシ氏によると「NEBは引き続き人権問題に力を入れ、コミュニティの成長プロジェクトをサポートしていく。」
作家テリー・和多田は歴史あるバンクーバー日本語学校並びに日系人会館で行われた土曜日の晩餐会での基調講演者であり、ゴードン・ヒラバヤシ人権賞の受賞者でもある。その日は、GVJCCA理事のエイプリル・清水や在バンクーバー日本国総領事館岡田誠司総領事にもGVJCCAより表彰状が授与された。
年次総会と会議の参加者はバーナビーの日系ナショナル博物館・文化センターや過去には日系カナダ人コミュニティの本拠地であったバンクーバーの旧パウエル街グラウンド(現オッペンハイマー・公園)などを訪問した。
この週末は、一世が目指した明るく、差別のない未来を目指して共に努力するという思いや夢を新たにして幕を閉じた。
全日系人協会
www.najc.ca
日系カナダ人青年リーダー会議
youngleaders.najc.ca
[文・ロレーン・及川、訳・足立礼子]