MEETS: MUJI シニアストアマネージャー 二ノ宮 裕輔
MUJI Robson支店とはアートでコラボができたらいいなと本誌の編集後記に書いたもののあっという間に1年が過ぎてしまいました。また売り込みに行くと以前のマネージャーさんとは代わり、日本の方がお目見えしたので早速日本語でインタビューを申し込みました。
—日本から来てるんですね
日本の駐在で来ています。バンクーバーに来たのは2019年の6月からです。
日本の肩書きは海外事業部米州担当営業担当カナダ担当。
—長いですね(笑)、色々と任されてますね
店舗でのタイトルはFlagship Directorです。
—MUJIに就職してバンクーバーに来るまでの経緯は?
20代は何になりたいとか明確なビジョンはなく、MUJIに就職したのは学生時代にバイトしていたのがきっかけです。 正社員になって富山、岐阜、名古屋、神奈川で店長を務めました。
—随分色々なところに行ってますね
勤務地が半年で変わることなどもあって大変な時期でした。その後本部に移転になった時にVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)という部署に配属になりました。
—VMDといえば花形職ですね。90年代のお洒落なトレンディドラマでもよく出てきましたよ(笑)
VMDっていう部署は知ってたけれど、到底僕のセンスでは無理だろうと思ってて(笑)、まさか自分がっていう感じでしたね。
—すごく勉強したんですね。
教えてもらえるんだけど、わからない事だらけで悔しくてめちゃくちゃ勉強しましたよ。
—VMDはどんな仕事なんでしょうか?
できた商品をどういう風に売り場で見せてお客さんに訴えるか、視覚的に商品の良さを伝えるのがVMDの仕事になります。仕事内容は新店準備業務と指示書作成等の2つが主です。
新店舗にかける準備期間は国内は3ヶ月くらいでプランニング、海外は半年から1年かけて店舗の商品陳列、ディスプレイ、内装等をプランしていきます。
指示書は本部のデスクでパソコン作業。プランした、この棚にはこの商品を何個、みたいな指示をひたすら書いていきます。
—現場とデスクで書いた指示書では違いが出てきたりしませんか?「事件は現場で起きてるんだ〜!」(ドラマのセリフ)的な(笑)
そうそう、現場のサイズと指示書と誤差があると言われることもありますよ。電話やテレビ電話での指示もありますが、現場に見に行くこともあります。定期的にいろんな部署の人が集まって現場で話し合う事もある。この仕事は想像性が大事。いかに事前準備が大切か、プランニングである程度決まります。最後の最後の仕上げで違いが大きく出てくるんです。
国内を半年間担当して海外は6年半務めました。主な担当国は、東南アジア(タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア)で、オーストラリア、中東(UAE、クエート、カタール、サウジアラビア、オマーン、バーレーン)も行きましたね。
当時VMDの中で海外担当は4人。海外のお店ができる度にプランニングして、オープンする1週間前とかに現地入りしてセットアップする。現場に入ったら寸法が違ったり、発注してたものが入ってこなかったり、発注しておけばよかった〜っていうのがしょっちゅうです。
今でも当時の仲間でよく昔の話をするんだけど、税関で商品をとめられて、倉庫にも入れないっていうインシデントがあって本当に大変だった。 (汗)
—間に合った?
なんとか間に合ったね〜、あるものだけでやるしかないって感じで。最後はふた晩徹夜でした。あれはキツかった。辛いこともたくさんあったけど、VMD時代はすごく楽しかったな〜。
—日本とカナダで違いとかありますか?
カスタマーサービスが日本と違ってフレンドリーだなぁって思いましたね。
MUJIフレーズで”welcome to MUJI” っていうのがあるんだけど、丁寧で日本的ですよね。こっちだと”Hi there”とか“How’s going?”って言って迎え入れたりするでしょう?とってもフレンドリーでいいなって思ったんですよ。そういう双方の良い所を活かしてスタッフや地域の顧客、皆んなが心地よい空間を作り出していけたらなと思っています。
—海外勤務でも転勤はありますか?
あるある、西海岸で働いてた人がニューヨークに転勤てこともあります。
—MUJIはとってもワールドワイドですね。海外で働きたい人は夢が広がりますね。
僕は2019年の1月1日付けてアメリカ担当になって、ロスに半年行った後に去年の6月にバンクーバー入りしました。ギルフォード店は3月にオープンの予定で手伝っていたんだけど、コロナで延期してそちらも6月にやっとオープンしました。
—私もポップアップ展覧会なるものを5月にロブソン店で企画してもらって大喜びだったところにコロナ襲来でポシャってしまいガッカリです(泣)ニノさん自身は何か影響ありましたか?
セルフアイソレーションで在宅勤務になって、別の意味で大変だったなぁ。家にいる時間が長くて体も鈍るから自転車を買ってあちこち走ったりした(笑)。一眼レフカメラも買いました(笑)
—カメラはコロナに関係あります?(笑)
コロナの時に食料品店や薬局などのエッセンシャルなお店は開いていたけれど、MUJIはスタッフの安全、健康を守るためにお店を閉めて、でも地域の人たちのために開けたほうがいいのかどっちがいいんだろうって葛藤がありました。7月に入ってロブソンストリートのお店もほぼ開いて、MUJIでも家の中で使う商品が急激に売れています。営業時間も少しずつ平常にしていこうかと思っています。ビジネスも早く通常に戻るといいなあ、と願ってます。
—ロブソン支店の店長さんになってどんな目標がありますか?
バンクーバーに住んでる人にMUJIをもっともっと知って欲しいです。ファンになって欲しいです。VMDで培ったスキルでMUJIの商品の良さをわかりやすく伝えられたらいいですね。
置いておくだけでもわかるようなディスプレイを心がけたり、店頭でも、使い方や特徴をデモンストレーションして伝えたりしています。会社の戦略で『役に立つ』というのがあるのですが、どんな人にどうやったら自分は役に立つだろうかをいつも考えるようにしています。お店のスタッフともいつも何か役に立てることは無いかアイデアを出し合い話し合っています。他には、お店のコンセプトが『ローカルとつながる』なので、社会に役立つような仕組みを考えています。年配の人や不便な地域への配慮を考えて移動販売や細かなところに気を配ったデリバリーサービスを導入していこうかと計画しているところです。これもスタッフから出てきたアイデアで是非実現させたいですね。
そうだ、移動販売トラックにKAOさんに絵を描いてもらおうかな(笑)
—シンプルデザインがMUJIの特徴だから無地の方がいいでしょう〜(笑)
コロナが終息して近いうちにローカルアーティストとしてMUJIとコラボができることを楽しみにしています。今日はありがとうございました。
大手無印良品の店長ですが気さくで優しいニノさん、ロブソン支店で見かけたら話しかけてみてください。商品のことをとても愛していて、詳しく説明してくれますよ〜。
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[文と写真:Sleepless Kao]