Meets:美音さん

 パウエル祭で沖縄のエイサーを招待するようになって久しいですが、2015年にエイサーと一緒に美音さんの三線を耳にした方もいると思います。今回、美音さんが沖縄県より派遣されてガスタウンの『Out & About』とMain St.にある『HooD 29』 で以前に取材したギター奏者のYujiroさんと一緒に三線のライブを行いました。ライブ後に美音さんをスタジオに招いてインタビューです。

ーお疲れ様です。ライブ、大盛況でしたね。席も完売で1日公演だったところを急遽増やしましたね。今回バンクーバーにきた目的は?

 はい、県の事業で派遣されてきました。

Live at『Out & About』

アルバータのレスブリッジは沖縄県の南風原長の「姉妹・友好都市」なんですが、沖縄の人が初めて移民をしたとこで沖縄県系人の移住110周年を迎えたのかな… カナダでも芸術や様々な活動を通して交流を深めていこうと努めています。ここ、バンクーバーは沖縄県人会があるのでその方達や海外の方達に沖縄の文化を継承していく、という目的もあります。

ー以前 バンクーバーに来たことは?

 2015年に英語留学でバンクーバーに10ヶ月滞在しました。

その時にバンクーバーが大好きになって、私は海がないとダメなんだな〜ってバンクーバーに来て気づきました。

沖縄三線奏者 美音さん

ー沖縄の人は海に入らないって聞いたんですけど(笑)

 そうです、そうです。なんでですかね〜、みんな泳がないです。海は眺めるところ、ドライブに行くところで、バーベーキューとかします。呑みに行くところかな(笑)

ーガスタウンとメインでの演奏はどうでした?

 (Yujiroさんとの)ギターと一緒に演奏ライブするのは実は初めてで、めちゃくちゃ緊張しました。

ーそんな風には見えませんでしたね。もちろん曲も音楽も素晴らしく良かったんですが、MC(喋り)がすごい面白かったな〜って(笑)

 あはは、私、英語はうまく喋れないんですけど、よくばりでMCで笑いを取るのを目標にしてるんです(笑)

英語がうまく喋れないのは当たり前。なのでガンガン行きます。MCは沖縄でのコンサートする時よりこっちの方がうまくいってる気がします(笑)


—皆なすごく笑ってましたよね(笑)英語の発音もとても綺麗でびっくりしましたよ。

 いえ、とんでもないです。

大学時代(19と21歳の時)に海外に行く機会を得て、シアトルとバンクーバーで公演する機会があったんです。その時に自分の意思がうまく伝えられず悔しい思いをしました。

パリもロシアでも英語で話しかけてもらったんですけど、答えられなかったことが歯がゆくて…それまで英語には全く興味がなかったんですけど、三線を奏でるだけでは意味や文化を伝えることができないんだと思い、バンクーバーに英語を習いに留学したんです。

 日本の時はちゃんした日本語を話して伝えなければいけないというプレッシャーがあります。特に沖縄は『古典・民謡』を研究している方もいるから、笑う方向にはもっていけないですね。

 だからここで英語でライブをするの好きだなって思います。(英語は)うまく喋れないけど「笑い」だけは取っておこうって(笑)

Live at『Hood 29』

ー三線はいつからやっているんですか?

 高校1年から三線。でも実はずっと洋楽やっていてドラムやってました(笑)

琉球舞踊をずっと習っていたんですが、両親に沖縄の音楽をやったほうがいいと勧められ、母が三線の先生のところに連れて行ってくれたんですが、連れて行かれた時に嫌すぎて本気で泣いたんです(笑)高校一年にもなってですよ(笑)本当に嫌で嫌で(笑)なんかカッコ悪いと思ってたんですよね。

—ロックとかの方がカッコよく見えるような、そういう年頃かもですね。

 ギターとかロックならわかるけど、三線!?みたいな…しかも母に無理矢理連れてかれたので反発心もあって…でも習い始めたら自分が思っていた三線と違っていて『古典』が自分にとって全く新しい世界で面白いと思ったんです。

最初に習ったのが7分ほどある長い曲を覚えて演奏するというコンクールの曲で、それが面白くてそこからどんどんはまっていった感じです。意外にも自分にはポップスやロックより「古典」の方が合ってました。

ー三線の教師免許を持っていて、バンクーバーでも教室で教えてるんですね?

 留学中もありがたいことに知人の方が習いたい方たちを集めてくださって、最初は週1だったんですけど、 人が増えて大変になってきたのでビギナーズコースとアドバンスコースと分けて週2で教えるというのを留学終えるまで続けました。

ー三線を習いたい人が結構いるんですね

はい、私はその時は三線を持っていなかったんですが、皆さん持っていて(笑)

ーみんな三線を持ってるものなんですか?

 日本(沖縄)からバンクーバーに戻る時、弾けなくてもお土産に三線を持ってくる人が多いみたいです。

 内地からきた人で、沖縄レストランで沖縄の音楽を聴いていいなって思って三線と楽譜をバンクーバーに持って帰ってきた方がいたんですけど、習う場所がなくて弾けずじまいだったっていう方もいました。

ーまたこっちに戻ってきたら仕事も安泰ですね(笑)ゆくゆくは沖縄とカナダで行き来して?

 それが理想ですね。古典のルーツは沖縄にあるのでしっかり沖縄で学び続けて、半分はバンクーバーにいられたらって思います。

ー今後の予定は?

 最終的にはまたバンクーバーに戻ってきたいなって思ってるんですけど、今年の6月にオーストラリアに1年間ワーホリに行く予定です。2018年の4月にメルボルンでコンサートをしたんですが、その時にオーストラリアもいいなと思ってワーホリに行くのを決めました。

 メルボルン行って、バンクーバーに戻ってきたら「トゥダイ(today)」になってるかもです(笑)

 明るくて沖縄のアクセントがチャーミングな美音さん、一旦演奏に入ると人が変わったようで、観ている人の心を沖縄に導いてくれる演奏を繰り広げます。これから世界でますます活躍していく美音さんの音色をより多くの方々に 触れてみてもらいと思います。バンクーバーに戻ってきた折にはライブなど、要チェックです!

 

[文と写真:Sleepless Kao