Meets: マントさん

The Bulletin Magazineを通して様々なイベントに呼ばれる機会を頂くのですが、最近必ずと言っていいほどお会いするのがフォトグラファーのMantoさんです。

  Mantoさんのイメージは大きく口を開けてニッコーと笑う素敵な笑顔なのですが、はてさてその実態はよく存じておりませんでした。なので取材を申し込んでみたのですが、「え?取材ですか?僕の?僕がKaoちゃんを取材するのではなく?」

(はて?Mantoさんは取材する人でもあるのでしょうか?)

 その謎多き人物を訪ねてみました。

 車でお家に伺うと元気よく「僕についてきてください!」と走って駐車場まで誘導してくれました。ものすごく元気です。

—Mantoさんはインタビュアーなんでしょうか?

 いえ、実は僕はビデオグラファーなんですよ。

—今回お話をお伺いする前にFacebookを見たのですが、納豆も作ってるんですね?

 そうなんですよ。(笑)

—でも今日はフォトグラファーでお話を聞きに来たので、納豆の話はよそに置いておきますね(笑) 写真の仕事としてはどんなことを?

 スポーツ、ポートレート、ウエディング、ファッションなどを日系関係やVancouver Sunなどの新聞社から頼まれてありとあらゆるものを撮影してます。(笑)

—七五三の撮影もやってますよね?あれはスタジオ撮影ですか?

 

 はい、簡易スタジオを自宅や個人のお宅などに設置しての撮影です。

 「カナダのPRビデオを撮ってください」と観光局に頼まれてバンクーバーのクリスマスイルミネーションを撮る仕事、オリンピック、パラリンピックそして サッカーW杯の仕事なんかも請け負っています。

 結婚式の写真なんかを撮るとスティル画像だけでなく動いている映像も欲しいとなってくるのでドローン(遠隔操作によって撮影できる小型飛行カメラ)の撮影もします。

 毎年6月から9月の間は日系アワードの撮影をしています。『KATARI太鼓』とかね、取材しますよ。日系アワードの映像もドローンを使って撮影してますよ。撮った動画見ませんでした?

—日系アワードは「The Bulletin Magazine」も表彰されたので映像は見ています。あれはマントさんが作っていたんですね。

最近のフォトグラファーはドローンも操縦撮影するんですね。あれ、操縦するの難しいじゃないですか?落とさないですか?(笑)

まだ落としてないです(笑)

 Facebookのマントアートワークスを見ると、何をやってるかがわかるのでそちらもよろしく。

—そんなマントさんの『今』はどのようにして形成されていったのかその人となりを訊ねてみました。

 神奈川県出身のマント少年。

 子供の時から走ってました。バレーボール、サッカー、ドラムなどを経験し、中・高校生の時は写真同好会に所属してました。父親が生物の教師だったので身近に望遠鏡や顕微鏡があったんです。雨戸の節目でピンホールカメラの原理を知ったり、レンズというものに対しての環境があったんですね。

 その頃は自分のやりたいことを決めたくない、とも思ってました。今も同じですが(笑)

 和光大学で日本画を専攻しまして、その後10年間、肉屋に勤めました。

—え!(驚)

 

 

 人体解剖をして骨格の勉強をしたいというミケランジェロの世界にも似た思想でしたかね。

—突拍子もない(笑)

 肉屋は屠殺も解体もしますでしょ?筋だとか実際に食べてみて、自分にとってすごい勉強になったんですよ。

 肉屋に勤めていた時代にトライアスロンをやってたんですが、「お江戸に出なければいけない」と思いたち東京に働きに出て、渋谷のトライアスロンのショップを任されたんです。

 そして今度は「世界に出よう!」と84年にバンクーバーマラソンに参加した時に、(ここだ!)と思ったんです。5月だから騙されたんですね、冬を知らなかった(笑)

 89年に世界旅行を3年間した後92年にバンクーバーに来て、その頃は近畿日本ツーリストでマネージャーをしていました。

 98年ぐらいにコンピューターグラフィックを導入。写真で収入を得るようになったのは2010年ぐらいからですかね、並行しながらデザインの仕事もしていました。コマーシャルアート、HISのスケッチ講座もやっていました。

 2010年のオリンピック・パラリンピックは日本の新聞社に頼まれて(日本語で)取材もしてたんですよ。

 知ってますか?パラリンピックの種目によっては音ができるだけしないカメラを使うんですよ。音を出しちゃうと、イエローカードで出てきなさいとなるんです。ゴルフのプレーヤーとかも風の向きなど考えてるから、音は出せないんです。現在はミラーレスが普及してきたのでだいぶ楽になって盗撮状態が多くなりましたが(笑)

 モデルの場合は「音」でアゲアゲになるんですけどね(笑)

—マントさんは本当にアクティブですよね。いつも走ってるイメージがあります。Facebookにあげている走っているご自身の姿はどなたがとっているんですか?

 走ってる写真はリモートコントロールかタイマーで撮ってるんですよ。スタンレーパークの周回10キロを週に5回走ってます。 

—ええええ!すごい!

 週に2日、走らない日はコールハーバーコミュニテーセンターの子供たちにサッカーを教えるという仕事を17年間続けています。

—あの野鳥の近写を毎日のようにFacebookにアップしてますがどこで撮ってるんですか?

 朝、納豆の製造、配達を終えてから撮りに行ってます。リッチモンドの配達の時はW Dyke Trail。バーナビーの方へ行く時はバーナビーレイクとバーナビーマウンテン。

ノースバンのベジタリアンカフェに配達の時はGrouse Mountain、Cypress Mountain、そしてLynn Canyonにとカメラを携えて行ってますよ。

—今までの経験は全て今マントさんがやっている事に生かされてますね。マントさんの写真を見ているとしっかりと構図がキャプチャーされていて日本画がバックグラウンドにあるのがわかります。「フォトグラファー」は「日本画家」より全然向いてますね(笑)

 日本画の制作は動かないですからね。日本の心を学ぶためには良かったです(笑)

 マントさんのカメラコレクションや、日本画のスケッチや画集などを見せてもらったりと話は尽きなかったのですが紙面は1ページなのでここら辺で(笑)

 余談ですが肉屋で10年も働いていたマントさんはビーガンです。10年前に息子と娘さんがビーガンになったのを機にマントさんもなったそうです。料理をするのも大好きだそうで、「納豆も作るフォトグラファー」とても興味深いユニークな方でした。

マントさんウェブサイト

Vimeo: user56045488

Instagram: @mantonakamura

Facebook: MantoArtworksPhotography

[文と写真:Sleepless Kao