働きing:山中北斗

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 チャイナタウンから少し歩いたメインとユニオンストリートにあるお店、ハーベストでお仕事をされている山中北斗さん。料理の道に進まれたいきさつやモチベーションアップ術についてお話を伺いました。

──日本では懐石料理店でお仕事をされていたとか。

 14歳の時から、料理の道に行こうと思っていました。 テレビで日本人のフランス料理シェフがフランスのコンペティションでバトルをするという番組があったんです。それを見て、今まではスポーツしか世界で対等できるものはないと思っていたので料理の世界にそういう人がいて「何なんだ?」と思って。初めはフランス料理に興味があったのですが、日本料理に変えたのは、やっぱり日本人だから日本食が楽しそうだと思って懐石に行きました。

──カナダに来たきっかけは?

 19歳ぐらいから海外に行って店を出したいと思っていたんです。それで日本料理を10年やって準備を整えました 。カナダに来たのは、うちの兄が世界一周旅行に行ったんですが、その時にバンクーバーがすごく良かったから行ってみなよと薦められたのと、2007年に来た際にカルチャーショックと気候の良さにインパクトを受けたのがきっかけです。2008年1月にワーホリを取って茨城から来ました。
 着いてからはロブソンにある葉っぱ居酒屋様で働かせて頂き、カナダに残りたかったので必死に一生懸命働きました。その後、2010年に葉っぱイエールタウンがオープンして、そこのヘッドシェフとして働いていました。将来的に自分の店を開けたいと思っていたので、英語力や、コネクションを広げるためにもここから出てみようかと思い、うちの妻も応援してくれたので自分のステップアップも含めてハーベストでの仕事を始めました。

──こちらで生活するに当たって大変だったことはありますか?

 ないんですよ。もちろん英語とかは勉強もしてこなかったので当たり前に難しいのは別として、生活で困ったということは基本的にないですね。
 たまたま本当にみなさんのおかげでいい道に連れて行ってもらったり、助け舟が出たりして。 例えば、ハーベストの前に働いていた葉っぱ居酒屋さんを辞める時も、あるフレンチビストロからオファーをもらっていたのですが、結局それが辞める前になくなってしまったんです。どうしようかと思っていたら、たまたま知人の方が僕のレジュメを今の職場の社長に落としてくれていて、インタビューに行かせてもらいました。 自分でレジュメも落としてはいたんですけれど、ついていたとしか言いようがないですね。

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──今お仕事をされているハーベストはどんなお店ですか?

 ハーベストは基本的にラーメン・ローカル・オーガニックが基本のコンセプトです。お店にはローカル・オーガニックの商品やそういった食材を使った料理を出しています。日本の友達からしたら、僕はずっと懐石だったので「北斗がラーメン作っているよ」のような感じで思われますが、こっちでは普通かな。仕事を移動したからそこに行ったんでしょ、という感じで。

──先日Burdock & Coで懐石イベントを行われたと伺いました。(Burdock & Coとハーベストは同じ経営者)

 あれは、社長に「祝日を使ってやってみなよ」と言って頂いたので開催しました。もともと、こちらで懐石という夢があるので、 今懐石料理というものを出してみて、どこまでカナダの人たちが美味しいと言ってくれるか見てみるとても良いチャンスでした 。 葉っぱ時代の友達3人に手伝ってもらったんですけれど、友達の1人がわざわざカルガリーから飛行機で来てくれたりとか、葉っぱさんの社長のジャスティンさんも仕込みをするのにキッチンを午前中貸してくれたりして。 本当に多くの人の手助けがあって大成功があったと思っています。

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──仕事をしている中で、大切にしていることは?

 結局全て陰と陽なので、日頃の行いが全て返ってくると思います。頑張っている人には今すぐじゃなくても返ってくると思いますし、適当にやっていたらその時間が無駄になっていると思います。生きているんだったら何事も一生懸命やったほうが楽しいと。あとは無理せずに。ポジティブが一番です。ネガティブな時だってもちろんありますが、切り替えが大切ですね。

──モチベーションはどのように維持していますか?

 モチベーションの上げ方を早く知ることだと思います。例えば、 みんなで飲むのが好きな人だったら、飲み会を2週間後くらいに設定して、それまで頑張ろうとか。もちろん、 夢として大きな目標は必要ですけど、ちょこちょこ小さい目標がないと上がっていけないですからね。
 仕事ってやっぱり大変ですよね。辛いこともありますし。でもその環境に辛い辛い言っていてもしょうがないので、自分で変えるしかないんです。 今まで横から見ていたのを縦から見るようにするとか。見方を変えれば相手の態度も変わってきたりします。
 あとは苦しい時こそ、自力というのが難しいのかなと。そういうときに頑張っていると他力が出てくるのかなと。僕も結構他力本願なところがあります。

──これからは次の世代を育てていく他力になっていくのでは?

 これから先出会っていく人に対して いいアドバイス ができたら最高ですね。いろいろな人の助けがあって今の僕がいるので、それを教えるというか、困った人がいたら助けてあげられたらと思います。何ができるのかはその時にならないと分からないですが。

──今後の目標を教えてください。

 やっぱり自分の店を出すことですね。でも、まだいろいろな事が足りませんね。資金も足りませんし、英語力も足りません。もっとこの国について知ることも必要だと思います。もうちょいかかると思いますね。

Harvest

harvestunion.ca

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[文 山本一穂]