編集後記 2019年9月

KAO (a.k.a. Sleepless Kao)

 アート学校での「サマーキャンプ」という名の夏季特別授業の仕事が終わり、Squamishのキャンプに行く。ここはプライベートキャンプ場でビックリなのはSquamishのダウンタウンから車ですぐ、キャンプ場には売店もアイスクリーム屋もあって、シャワーも水洗トイレもあって至れり尽くせり。

 私は富士山の麓で山猿のように育ったので、キャンプといえば誰もいない森の中でテントを張るイメージでした。子供がいるファミリーにはこういうオートキャンプは楽チンですね。私たちはキャンプ場から車でStawamus Chiefに行き頂上を目指します。

 一日ハイキングでどうってことないと思ったけど、崖のてっぺんを目指すわけですから、それなりに辛い。頂上近くになるとてっぺんには鉄の鎖や梯子がかけられていてちょっと本格的。なんでも崖としてはエアーズロックの次にStawamus Chiefは大きいのだそう。もっとカナダ観光局はエアーズロックのように世界的に宣伝した方がいいのでは。

 山を降りてくる頃には膝が笑いだした。歳も歳なのでその日には筋肉痛はやって来ず、2日目に結構きました(笑)

 筋肉痛が落ち着く間もなく、またもやキャンプに。これは先月ファッションショーに急遽出演で行けなかったのを嘆き悲しんでいたら、友人が第2弾を計画してくれた。このキャンプ場には4WDで石と岩がゴロゴロの道を3時間近くかけて行く。Wifiも携帯も入らないので途中何かあったら一巻の終わりなのです。いつもは4WDを持っている友人と行くのですが、その友人とは日にちが合わなかったため、セダン(普通車)で行くことに…。別の4WDで来る友人たちは「ゆっくりくれば大丈夫だよ〜」と気軽に言っていたけれども、山から丸太を積んだトラックは猛スピードで降りてくるし、こちらは崖側で待機だったりと本当に死ぬかと思いました。実際脇道には十字架や花が手向けられてるところがあって冷や汗ものです。着いた頃には車体の低いセダンは砂埃りで真っ白、キャンプに参加の友人たちのイタズラ描きの的に。あ〜もう、悪友たちの言葉は間に受けてはいけないのです。

 兎にも角にもトイレもシャワーもない、でっかい自然の中のキャンプ地で湖で泳ぎ、釣りにカヤック、夜はキャンプファイアーにギターの音色。空には満点の星と天の川。流れ星を2回も見て、なんて心が洗われるのだろう〜っと思っていたのも今では遠い記憶(つい最近のことなのに)

 Wifiがなかったため、キャンプ地から家までの帰路の途中でガンガンとメッセージやらメールやらが入りはじめ、一気に下界モードに引きずり戻された。下界に戻って思うは、バンクーバーに住んでいて広大な自然の中にいつでも行けてラッキー。9月も機会があれば電波のないとこに逃避行に行きたい! その後のツケは大変ではあるけれど…

 

Kazuho Yamamoto

最近、職場の同僚の勧めでHBOのミニシリーズ『Chernobyl』(邦題:チェルノブイル)を見ました。題名の通り、1986年にソビエト連邦(現・ウクライナ)のチェルノブイル原子力発電所で起きた事故をテーマにしたドラマです。

 ドラマを見ていて頭に浮かんだのは東北地方太平洋沖地震の影響で起こった福島第一原子力発電所事故。企業の利益、政治との絡みで原発が危険だと言うことを国民にすぐに発信できなかったと言う展開は事故が起こった2011年でも変わっていないと感じました。しかし、それが信念に反すると感じて自身のキャリア・命を犠牲にして立ち向かった人々の様子がこのドラマの話の中心で、これも時代が変わった今でも同じだと感じました。

 このドラマは日本でも9月から映画専門サービスのBS10スターチャンネル等で放送されることになったようです。原爆、原発事故の歴史のある日本でどのような反響が出るか興味があります。

 日本でもすでに東北大震災時の原発事故を題材にした本やテレビ番組がすでに出ていると思います。政治、出版社、製作会社、配給会社のしがらみにとらわれずに事実を発信することにはリスクが伴いますが、そのリスクを理解の上で真実が人々に伝えてくれる個人、メディア、企業、ジャーナリスト、ライター、クリエーターがこれからさらに出てきてくれることを期待したいです。もしすでに出ている出版物や番組でお勧めがあればぜひ教えて下さいね。