働きing:矢島ヤスミ

矢島ヤスミさん

矢島ヤスミさん

 今回はバンクーバーでグラフィックデザイナーとしてお仕事をされている矢島ヤスミさんにお話をお伺いしてきました。

—カナダに来たきっかけは?

 もともとアメリカに留学をしていました。留学中に両親がカナダ移民をすることになり、もともとはアメリカの美大に進むつもりだったのですが留学生は学費が高かったんです。カナダの大学に進学の方が経済的にも家族の近くで生活ができるということもあり、エミリー・カー美術大学に進学することにしました。

—エミリー・カーではどのような勉強をされましたか?

 大学ではインテグレーテッド・メディアを専攻しました。色々なメディアを使ってアートを製作する学部でしたが、クラスメートのほとんどは映画監督志望の人が多かったです。わたしはアメリカでグラフィックデザインを勉強していたのでコマーシャル的なデザインに興味があり、将来的にはその分野に進みたいとなんとなくですが思っていました。

 卒業後は知人の紹介でGuu男前ガスタウン店に入社し店舗で勤務をし、ホールマネージャーも担当しました。その頃からスキルを利用して勤務していた店舗のグラフィックデザインをやるようになりました。お店での仕事から離れて全店舗のグラフィックデザインを手がけるようになったのは今から約5年前からです。それ以来、全店舗のブランディングとグラフィックデザインを担当しています。

—クリエイティブなお仕事ですが、そうしたクリエイティビティーを持続させるために特に行なっていることはありますか?

 色々なところで刺激を受けるようには心がけています。例えば、新しいレストランに食べに行くとか。あとは、ロー・フード(生の食べ物)が好きなのと、最近はリビング・フード(酵素を含んだ食べ物)について勉強して、お味噌を自分で作ったりしています。特に特別なことをしているわけではなく、生活の中に色々と興味を見つけています。実家がもともと飲食店だったので、日本人として大切にしたい食文化には興味があります。

 私がデザインの勉強をした頃と比べて、現在はコンピューターやインターネットで一般の人でもロゴなどのデザインができるようになりました。こうした状況を踏まえて自分にしか作れないものを作るようには意識はしています。また、アートが好きなのでそこから得たインスピレーションをデザインに取り入れるということもしています。例えば、ライブのパフォーマンスを観に行ったりするとグラフィック、空間、匂い、観客の雰囲気といった五感が刺激されるのでそういった体験が得られるものに興味がありますね。レストランもお店がステージのようなものなので共通している点があるのかもしれません。

—お店がステージ、面白い見方ですね。

 日本で両親が鯉の料理店を営んでいて、お店の中には池と日本庭園がありました。小さい頃からお客さんが来た時に料理だけではなく、庭や池を見るという体験も含めて満足しているというのを実際に見ていました。食事だけではなくその空間でストーリーが展開されるというのはずっと思っていました。

 普段レストランに食べに行ったりすると、トータル的にお店がどういったストーリーを伝えたいのかというのを考えたりしますね。行く前にウェブサイトをチェックしてそのお店のストーリーについて想像して、実際に行ってみてそれがどう違うかを考えたり、細かいところのバランスを考えたりすることがあります。どのジャンルのレストランも安いものもあれば高いものもありますが、どのランクに行っても楽しめるストーリー性があることが重要だと思います。

 お店で使われているデザインもそれに大きな影響力があって、ラーメン屋さんのロゴ1つにしても、ラーメンを通し て地域密着を目指すお店もあれば、ラーメン自体で勝負!なお店もあります。両者ともラーメン屋さんですがブランディングは異なってきますよ ね。

 仕事でも頼まれた事をただ行うのではなく、依頼してきた人の実現したいことを分析して、その人が何を実現したいかということ作業の前にじっくり考えますね。ロゴを作るにしてもこのビジネスを通して何がしたいのか?等の依頼者やお店を運営される方の心の底にある願望を見るように心がけています。

 今後もデザインを通じてお店をサポートしていきたいと締めくくったヤスミさん。これからヤスミさんが関わるお仕事でどんなストーリーが展開されていくか楽しみです。

マクラメアーティストHIMO ARTさんのロゴ制作: http://www.himoart.com/

マクラメアーティストHIMO ARTさんのロゴ制作: http://www.himoart.com/

サウンドデザイナーPitaSoundさんの名刺制作: http://pitasound.com/

サウンドデザイナーPitaSoundさんの名刺制作: http://pitasound.com/

Contact: hello[at]yasumiyajima.com

[文・山本一穂]