働きing:越塚速人

hayato1 今回はZipang provisionsのオーナー、速人さんにお話を聞かせてもらいにメインストリートにあるお店にお邪魔しました。

──モダンな佇まいのお店ですね。(高い天井に大きな柱が組まれていてとても開放感があります)居心地が良いですね。インテリアのアイデアはご自身で?

 はい。昔、ビンテージ家具や洋服を扱った仕事に携わっていたこともあってデザインにも興味があります。 ログハウスデザインをしている友達と話し合いながら決めていきました。

──フードビジネスの前はビンテージビジネスですか。 面白いですね。

 僕の経歴、けっこうあちこちいっていて、ややこしくてすみません(笑)。

 1992年、当時22歳の時に群馬からワーホリでビクトリアの学校に行ったんですよ。地元が一緒のやつがいて、そいつとビンテージ物を集めていました。

 その友達と後にアメリカの Portland に移ったんです 。はじめは学生ビザで行って、(PortlandはNIKEで有名ですから)主にビンテージのNIKEのシューズやデニムを集めて日本やL.A.にあるお店に卸していました。

 その友達は今も Portland でギャラリーショップを経営しているんですけどね。僕はビザの関係もあって(移民申請中に)いったん日本に戻ったんです。

──ビンテージ業がいつフードビジネスに?

 ビンテージに興味はありましたけど、元々僕は飲食業に興味があって、高校を出た後は大阪の料理専門学校、東京のレストランで3年修行しました。

 1999年に移民の申請がおりるまでの間、アルバイトをしていたところが銀ダコ!

──東京で、ですか?

 いえ、地元の群馬です。たこ焼きの銀ダコというと築地と思うかもしれませんが1号店って実は群馬なんですよ。

 家業のクリーニング屋を手伝いながら週一でたこ焼き焼いていました。その時にカナダに行ったらたこ焼き屋をやりたいなって思い描いていたんです。

──なるほど、つながりました! リッチモンドナイトマーケットでたこ焼きを焼かれていましたよね。(Zipangのたこ焼きほんと美味しいんです!)

 1999年に移民が取れ、それからしばらくはこっちのジャパレスで修行しながら夜はナイトマーケットをかけもちしていて、がむしゃらの6年間でした。

 ナイトマーケットの大変なところは機材を置きっぱなしにできないので、毎回搬入と搬出をしなければなりません。あと、フードインスペクトの基準が厳しいのでそれをクリアするのに気を使います。

 お客さんに「お店はどこにあるの」とよく聞かれるようになって、じゃあお店を開こうか…

──で、Zipang開店ですね! 

はい。最初はここから数ブロック離れたところに小さな店舗を構えました。

──お店の名前の由来は?

 カナダの若い人をターゲットにと考えて、ジャパニーズイングリッシュ的なサウンドもいいかなとZipangにしたんですが、実際はこっちの人にはどういう意味なの?って聞かれることが多くて(笑)。

──ははは、日本では歴史の授業でZipangは出てきますけど、カナダでは馴染みがないみたいですね。

 今はメニューの扉にZipangの意味を載せています(笑)。

──お店の名前を取ったZipangサラダ、美味しそうですね。 寿司メニューに加え家庭的な料理も多いですね。メニューは速人さんが考案するんですか?

 そうですね、僕自身とキッチンシェフ、従業員で考えます。

──お店で働いているスタッフの制服もお洒落ですね。

 これは先ほど話に出て来た地元の友達が手がけています。椅子とか、ライトシェードなんかも彼のとこから。ウェブサイトも近々リニューアルするんですが、彼のところに頼んでいます。

──余暇には何をなさってますか? 

 体を動かすのが好きなのでヨガは5年続けています。一時、日系のソフトボールチームZipangを結成し、(4月〜10月にトーナメントがあるんですが)参加していました。最近はボルダリングにはまってますね。

──20年来の友情と好きなことに対するパッションを大切に育んでるようですね。これだけのお店にするのには大変な苦労があったのでは?あと今後の目標などをお聞かせください。

 そうですね、アウトドア用品を扱うPatagonia のように事業を通して大きく社会貢献している点や環境保護に意欲的な所に惹かれます。Patagonia創設者イヴォンの言葉なのですが、「よりシンプルな生活~そこへ戻る事はむしろ前進なのだ。シンプルになる事で私たちは尊厳を取り戻し、大地と接し、人と人との触れあいの大切さをもういちど学ぶことになるのだから…」と唱っていて、今の社会にはぴったりとあてはまるなぁと感銘を受けました。

 かなり前の話になりますが、実際に僕もPatagonia 発祥の地、 California州にあるVentura に行った事があります。Ventura は” Land of Fortune ” と呼ばれ、ヨーロッパからの移民が多く、 60’s 70’s の’ 古き良きアメリカ ‘の面影を色濃く残している地です。とにかく人々が自分たちの生活を誰にも邪魔されることなく楽しんでいると感じました。

 昔から僕自身、アメリカの政治や外交に関して決して肯定的ではありませんが、彼らの作り出す文化、カルチャーはいつも衝撃的で、色んな意味で刺激を受けています。そんなPatagonia という企業が大好きですし、まだまだ足元にも及んでいませんが少しでも近づける様に、日々努力したいと思ってます。

 

Zipang provisions

www.zipangprovisions.com

3068 Main Street, Vancouver BC 

Tel. 604-428-5700

 

 ワーホリで渡加し、ナイトマーケットの小さなたこ焼きブースから始まりレストラン経営までに至る速人さん、苦労をものともしない、「好きこそものの上手なれ」のことわざを地でいっている感じの人でした。

 速人さんの暖かい人柄が反映されている空間をぜひ訪ねてみてください。速人さんがニコニコ応対してくれますよ。

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